国内

嘘のリークで大本営発表を垂れ流す大新聞の「国民裏切り史」

 1位「NHK」、2位「新聞」。これは昨年行なわれた公益財団法人新聞通信調査会の世論調査で、「情報の信頼度」を尋ねた結果である。調査開始以来5年間、順位に変動はない。“信頼されている”大メディアは、そうした期待に応えているとは言い難い。誤報がそれと知られないまま放置されているケースが多いからだ。

 大新聞の誤報で見逃してはならないのは、“大本営発表”を垂れ流すなどして世論をミスリードする「(未必の)故意の誤報」である。本誌も詳細に検証した一連の「小沢問題」報道や、PC遠隔操作ウイルス事件報道などは、捜査当局が発表・リークした情報をベースに“犯人”を決めつけて報道していた極めて悪質な例だ。

〈公判で証言する水谷建設元社長が、04年10月15日に石川(知裕=編集部註)議員に5千万円を渡した時の状況について、捜査段階で特捜部に語ったとされる内容がわかった〉

(朝日新聞11年2月4日付朝刊)のように、各紙は小沢一郎氏を追い落とそうという国策捜査の片棒を担ぎ、意図を持った報道を繰り返した。周知の通り、小沢氏は無罪となり、「5000万円」も贈収賄に問われもしなかった。

 同様のケースが、02年の鈴木宗男バッシング報道だろう。鈴木氏はやまりん事件のあっせん収賄罪などで有罪となったが、新聞各紙はいわゆる「ムネオハウス疑惑」などについても犯罪を匂わせた。同疑惑について鈴木氏は起訴もされなかった。外務官僚の“宗男追い落とし”に乗った誤報だった。

 また、大メディアは権威の発表を鵜呑みにし、恐怖を煽る。12年1月の「東大地震研 4年以内にM7」報道はその代表格である。

〈首都直下型 M7級 4年内70% 地震活発 切迫度増す 東大地震研試算〉

 読売新聞は1月23日付1面で、東大地震研究所教授への取材をもとに、そう報じた。朝日や毎日も後追いし、テレビ各局も大騒ぎ。しかしその根拠となった試算は、2年前に「30年以内に98%」といった数字とともに発表されていたものだった。地震研は新しい試算は何もしていないのに、さも「新情報」のように煽ったわけだ。

※SAPIO2013年10月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン