ビジネス

ソニー「はじめに顧客ありき」でなく「はじめに技術ありき」

 デジタルカメラも軽量化、高機能化がすすむなか、ソニーが発表したワイヤレスカメラの一種、通称「レンズだけカメラ」の「DSC-QX10」と「DSC-QX100」について、大前研一氏が解説する。

 * * *
 ソニーが先日発表した新商品が、スマホと組み合わせる「レンズだけカメラ(レンズ型デジタルスチルカメラ)」だ。高級コンパクトデジタルカメラ並みの高画質が売りのモデルと光学10倍ズームのモデルがある。

 しかし、カメラはすでにスマホに搭載されているわけで、それよりも高画質や高倍率ズームにするために接続するレンズ型カメラという発想が、私にはよくわからない。カメラに高性能を求めるユーザーは一眼レフや高級コンデジを買うだろう。そこまで高いレベルは求めないが、もっときれいな写真をスマホで撮りたいというユーザー向けなら、今あるスマホのカメラ性能を向上させればよい。

 現にソニーのXperia「Z1」やアップルのiPhone「5s」は、撮像素子(イメージセンサー)を大型化し、レンズも明るくすることで画質を最新のコンデジに匹敵するレベルに向上している。となると、レンズ型カメラのニーズがどこにあるのか、邪魔なレンズ型の物体をわざわざ持ち歩く人がどういう人なのか、ますますわからなくなる。

 これまでスマホになかった機能―たとえばプロジェクターになったり、プリンターやファクスとつながったりする機能―をスマホに付加できるような商品であればともかく、中途半端に大きなレンズ型カメラをスマホにくっつけるという発想は非常にプアだと思う。どういうお客さんに、どういうTPOで使ってもらいたいと考えているのか、私には理解できない。

 結局、今のソニーは「はじめに顧客ありき」の“カスタマー・イン”ではなく、「はじめに技術ありき」の“プロダクト・アウト”の会社なのである。

※週刊ポスト2013年10月18日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン