★★★★4つ星 『真夜中のパン屋さん』
喪失感を抱く、陰ある人物を滝沢秀明が的確に演じています。愛していた妻を亡くし、妻の夢だったパン屋を経営する暮林陽介役。タッキーというアイドル名をふと忘れさせてくれる、大人なキャラクターを好演。持っている素質はいいけれど演技上手とはいえないタッキーの良さを引き出した点で、監督・演出陣の力に脱帽。ドラマの世界も、夜中だけのパン屋という興味深い舞台設定、ゲイや脚本家と異色のキャラクターを周囲に的確に配置し演出する手際は鮮やか。脇役も含めた出演者たちの好演に星4つ。
★★★★☆4つ星半 『独身貴族』
憂いを帯びた複雑な横顔。笑っていても本当には笑っていない目。そんな独身貴族の社長の孤独感をぴたりと表現した草なぎ剛。器用な役者とは言えない草なぎくんから、味わいを引き出し個性を活かしきった演出には拍手。その意味で、『真夜中のパン屋さん』とも共通する、脚本・監督陣の手腕が印象的でした。映画への愛を正面から表したドラマ作りには、星4つ半。
――つまり、アイドルの人気に依存するドラマではなく、彼等の力を存分に引き出したり活かしていくような、秀逸なドラマが見たい。役者と制作陣とが、良い意味で拮抗するドラマにこそ醍醐味がある。
来年は今年以上に、私たちを楽しませてくれるドラマが登場することを心から期待しています。