アベノミクスで景気が上向くとともに、世の中のあらゆるトレンドにも明るさが出てきているのでしょうね。
しかし、ヒット作りの法則は急激に変わったわけではありません。私は昨年の今ごろ、当サイトにて“非ユビキタス社会”の到来を予見して、「いまだけ・ここだけ・あなただけ」のパーソナルなサービスが鍵を握るとお話しました。その流れは今年も続いています。
12月にグランドオープンした「イオンモール幕張新都心」は、その象徴ではないでしょうか。
スマホやタブレットの普及によるユビキタス社会によって、人々はわざわざ店舗に足を運ばなくても欲しい物がネットで手に入る時代。しかも、アプリの「ショッピッ!」を使って商品のバーコードを読み取れば、一番安い店から商品が届く。つまり、リアル店舗がショールーミング化しているのです。
でも、だからといって人々が外で買い物をしなくなったわけではありません。
旅に出掛ければ地方の名産品を買いあさり、コンサート会場では音楽CDや関連グッズが飛ぶように売れる。その場に立ち会い買い物をしたいという気持ちは、時代に関係なく人間の本能なんです。そういう意味では、エンターテインメント性を兼ね備えたイオン幕張店の今後には注目です。
2014年は「非日常性を追求し、思わず人の本能が反応する仕掛け」ができるかどうかが、ヒットの条件となりそうです。
【品田英雄/しなだ・ひでお】
1957年生まれ。学習院大学卒業後、ラジオ局(現・ラジオ日本)を経て日経BPに入社。1997年『日経エンタテインメント!』を創刊して編集長に就任。その後、同誌発行人を経て編集委員に。2012年10月より日経BPヒット総合研究所上席研究員を兼任する。
■撮影/山崎力夫