筆坂:私は秘密保護法は必要だと思ってるけどね。
村上・平野:えっ! 元共産党が?
筆坂:最近じゃあ、どこへいっても俺が一番右なんだよ(笑い)。ただ真面目な話、仮に共産党が政権を取ったって、こういう法律をつくるよ、取ることはないけど。
だって、外交や軍事に秘密があるのは当たり前じゃない。マスコミや野党は、あまりにも大げさにいいすぎだよ。一般市民が逮捕されるとか、ホラーストーリーだよ。こういうとき、すぐ「戦前返りだ」とか「いつか来た道」だとかいうんだけど、歴史はそんなに簡単にいつか来た道を歩まないよ。
村上:秘密保護は大事だが、いま安倍さんのやってることは、やっぱり「いつか来た道」を歩いてるような気がする。この欠陥商品の秘密保護法、それから武器輸出三原則に集団的自衛権。そして国民的議論なき憲法改正でしょう。
平野:国家の秘密を一定の条件で保護することは必要なことですよ。しかし、ああいう法律の体をなしていない法案を通してしまうのは問題です。防衛なら防衛、外交なら外交ときちっと整理して規制すべきです。
筆坂:成立した法が、これでよいとは私も思わないよ。政治家を縛る法律だから、官僚支配が強まる懸念もある。だから、議論はきちっとしなきゃいかん。しかし、野党は大げさすぎるから国民がついてこないんだ。
【プロフィール】
●村上正邦(むらかみ・まさくに):1932年生まれ。1980年に参議院議員初当選。自民党国対委員長、労働大臣、参議院自民党幹事長、参議院議員会長を歴任した。
●平野貞夫(ひらの・さだお):1935年生まれ。衆議院事務局に務めた後、1992年に参議院議員初当選。自民党、新進党、自由党、民主党を渡り歩いた。
●筆坂秀世(ふでさか・ひでよ):1948年生まれ。日本共産党入党後、1995年に参議院議員初当選。党中央委員会常任幹部会委員、書記長代行などを務めた。
※週刊ポスト2014年1月17日号