ライフ

早慶上智に日大も 私大で相次ぐ「学費値上げ」は妥当なのか

 今春から関東・関西の有名私立大学の授業料が軒並みアップする。本当に上げる価値があるのか。親世代がついつい「自分の時代」と勘違いしやすい、大学の授業についてコラムニストのオバタカズユキ氏が考える。

 * * *
 大学受験勉強の追い込み期だ。当事者である受験生のあなたには、「このサイトを見ている暇があったら、英単語の1つでも2つでもいいから頭の中に詰めこみなさい」と言いたいが、その親御さんや大学関係者、大学に関心がある方々には広く知っていただいたほうがいい、ちょっと頭の痛い話がある。

 日経新聞(電子版)では12月14日、朝日新聞(DIGITAL)では12月27日に報じていたけれども、この春からあちこちの私立大学が学費を値上げする。これまでも人知れずちまちま上げていた大学はあった。だが、有名どころが次々と値上げを表明、しかも消費税が上がる年に、という事態はニュースだろう。受験生の保護者はさらなる出費の覚悟をしたほうがいい。

 朝日新聞(DIGITAL)の記事をもとに、具体例をいくつかあげると、最も値上げの率が高く目立っているのは日本大学だ。全14学部のうち6学部で、年間の学費を5万~20万円増額するとしている。古い人にとっての日大は「中小企業の社長の息子が行くボンボン大学」というイメージもあるようだが、実はこの大学には学費を抑えた学部が多く、ここ5年間ほどは値上げをしていなかった。だから、これでついにあの日大の学費も首都圏の他の有名私大並みになってしまった、と捉えたほうがいいかもしれない。

 次いで、目立つのは早稲田大学だ。これまで1、2年次から徴収していた計15万円の「基礎教育充実費」を廃止。そのかわりに、新しく「全学グローバル教育費」年間7万円を徴収。4年間で卒業したとしても28万円かかるので、15万円を引き算して13万円の増額だ。また、政治経済学部の授業料は3万円アップ、他の学部の全学年で年間5~7千円の授業料を値上げする。

 他では、上智大学が「教育充実費」を新設し年間2万円増、授業料等も文系で年間7200円、理系で1万3700円の値上げ。明治大学は、5年ぶりに授業料を文系学部で年間5万円、理系学部で4万円の値上げをする。ただし、入学金は8万円減額とのこと。あとマスコミが伝えるところでは、慶應義塾大学、中央大学、青山学院大学、成蹊大学、関西大学が、率は低めだけれども値上げを決めている。

 逆に値上げを据え置くのは、関東では東京理科大、法政大、立教大、専修大あたり。だが、これらの大学はこの数年間でそれなりの学費値上げを行ってきたので、別に良心的なわけでもない。関西の大学も据え置きが多いが、国公立が非常に強いエリアなので、もとが安めの関大以外の私大は他の出方をうかがっていると見たほうがいい。

 値上げの言い分は大学によっていろいろだが、ざっくりまとめてみると次の2つの理由による。1つは、老朽化が進んだ校舎の建て替えや、遠方からの学生を呼び込むための学生寮の増設費が必要だということだ。寮については納得できないでもないが、私大でそんなに建て替えを急ぐような校舎が多いかな、という気はする。オンボロ校舎のまま頑張っている方々の国公立大学を思えば、「私大はまだ見栄えで人寄せできるつもりか」と首をひねる。

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン