芸能

NHK朝ドラ「花子とアン」 元少女愛読者から賛否両論が噴出か

 春の新作ドラマが目白押しだ。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が注目の作品について言及した。

 * * *
 いよいよNHK朝ドラ「花子とアン」がスタートしました。幼い頃、『赤毛のアン』の愛読者だった私は、いったいどんな風に料理されるのかなと、かたずを飲んで見守っていました。

 冒頭、タイトルとテーマ曲が流れ、実写の「グリンゲイブルス・緑の切妻屋根」が大写しになった時。見たくない!と思わず眼を覆ってしまったのです。ひそかに心の中に描いてきた大切な世界。誰かに勝手に触られたくない、イメージを書き換えられたくない--偏屈かもしれませんがそんな感覚です。

『赤毛のアン』は昭和の少女のバイブル、とまで言われる独特なポジションの作品。熱中して読み込んできた愛読者はもの凄く多いはず。だから、きっと私の屈折した心理に共感してくれる方も、いるのではないでしょうか。

『赤毛のアン』の翻訳版が出たのは1952年。物語の舞台、カナダのプリンス・エドワード島は日本人にとってはるか遠い場所でした。その後も長い間、多くの少女読者たちは活字を通して、アンが生きる場所を思い思いに想像し、憧れを大きく膨らませてきたのです。 

 ビジュアルも情報も無い。風景が見えない。それがむしろ、想像力を発揮して、一人一人独自の「アンの世界」を創り上げる駆動力になったのです。

 アンの暮らす家や部屋、自然豊かな湖、谷、海岸線、細い路地に窪地……「プリンス・エドワード島」の地図を自分の頭の中に思い描くことが楽しい、という方、実は多いのではないでしょうか?

 海外旅行が手軽になって「赤毛のアン」ツアーが販売されるようになった昨今も、現地を訪ねたいという人ばかりではありません。「現地ロケに行ってきました」とばかり実写を大写しにするのはどうかほどほどに。

 そんな風に『赤毛のアン』は、少女たちの胸の中に深く棲み着いたナイーブで独特な世界。ドラマ制作の方々はもちろんご存じかと思いますが、改めて伝えておきたい気分です。というのも冒頭の2週間、そうしたナイーブさが感じられない演出に、少々残念な思いになったからです。

 山梨の農村で暮らす花子の一家は、いつも顔がうす汚れ、髪の毛はぼさぼさのまま。いくらドラマでフィクションが混じるにしても、ちょっと不自然すぎない? どんなに貧しくても顔くらいは拭くはず。それなりの身繕いをするのが日本人の習性ではないでしょうか。「貧しい」ということを、「汚れた容姿」と簡単に結びつけてしまう配慮のなさに違和感を覚えるのは私だけでしょうか?

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン