芸能

杉良太郎 舞台切腹シーンで豚の臓物と血を使い劇場が大混乱

 1967年に『文五捕物絵図』で主演して以来、『遠山の金さん』や『大江戸捜査網』など、悪を懲らしめるヒーローを多く演じてきた杉良太郎だが、悪党をどう死なせるかよりも、どうやって死ぬかにこだわってきたという。死の美学を追求してきたという杉が語った言葉を、映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづる。

 * * *
 テレビ時代劇でのヒーロー役のイメージが強い杉良太郎だが、NHK大河ドラマ『武田信玄』での北条氏康役や『徳川慶喜』での井伊直弼役などでは印象的な死に様を見せてきた。また、主演舞台でも悲劇的な結末を迎えることは少なくない。

「今度はどうやって死んでやろうかって、ずっと考えているんです。死の美学というのを追求してね。人間は誕生する時には意思はないけど、死は自分の手によってできる。ですから、この役はどう斬られ死んでいったのか、苦しかったのか、痛かったのか、どんな想いでいたのか、追求するんですよ。
 
 私は狂気の世界に入りたかった。例えば大阪の新歌舞伎座で徳川家康の息子である信康の芝居をやった時は、切腹する場面で緞帳が下りるんですが、千秋楽に本当に腹を切りたくなった。お客さんの目に焼き付けて本当に死んでやりたい、と一週間くらい考えたんです。
 
 それで、小道具に豚の臓物を買いに行かせて、ラップで巻いて血もたっぷり入れてくれって指示しました。それをお腹に巻いて、その上からさらしを巻いて、白装束を着て舞台に立ったんです。そこに本物の短刀を突き刺したら血が噴き出て、客席がシーンとなり、短刀を右へ斬ったら、腹から豚の腸が一気に出てくる。そして私が倒れたところで緞帳が下りたもんですから、会場はパニックですよ。
 
 気持ち悪いとか、そういうことじゃない。杉なら本当にやるだろうとみんな思ったんです」

●春日太一(かすが・たいち)/1977年、東京都生まれ。映画史・時代劇研究家。著書に『天才 勝新太郎』(文春新書)、『仲代達矢が語る日本映画黄金時代』(PHP新書)ほか新刊『あかんやつら~東映京都撮影所血風録』(文芸春秋刊)が発売中。

※週刊ポスト2014年5月2日号

関連記事

トピックス

10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
ヒグマが自動車事故と同等の力で夫の皮膚や体内組織を損傷…60代夫婦が「熊の通り道」で直面した“衝撃の恐怖体験”《2000年代に発生したクマ被害》
NEWSポストセブン
対談を行った歌人の俵万智さんと動物言語学者の鈴木俊貴さん
歌人・俵万智さんと「鳥の言葉がわかる」鈴木俊貴さんが送る令和の子どもたちへメッセージ「体験を言葉で振り返る時間こそが人間のいとなみ」【特別対談】
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン