国内

在特会が憤る京都朝鮮学校の公園問題 地元当事者が実情語る

 安倍首相は人口減少社会の到来に備え、20万人の移民を受け入れるプランの検討に入った。移民受け入れを論じる上で避けて通れないのが在日コリアン(約53万人)、在日中国人(約65万人)の問題だ。地域社会での軋轢、吹き荒れるレイシズムの現状はどうなっているのか。

 今年3月、Jリーグ・浦和レッズのサポーターがスタジアムの客席出入り口に「JAPANESE ONLY」という差別的な横断幕を掲げて問題になった。4月には四国遍路道の複数の休憩所に「大切な遍路道を朝鮮人から守りましょう」という誹謗中傷ビラが貼られた。東京のコリアンタウン・新大久保では、街の至る所で「チョン失せろ」「チョンは害虫以下だ」といった落書きが見つかっている。

 近ごろ外国人、特に在日コリアンに対する異常なまでの排斥ムードが高まっている。ジャーナリスト・安田浩一氏が語る。

「日韓、日朝関係の冷え込みが長引く中、両国に対する憎悪を在日コリアンにぶつける風潮が強まってきました。『在日特権を許さない市民の会(在特会)』を中心とする自称・保守団体の動きも相変わらず活発で、彼らがネットで発信する情報に影響される人も多い。日本社会がレイシズムを許容しやすい環境になりつつある気がします」

 新大久保などで在日コリアン排斥デモを繰り返した在特会が世間の耳目を集めるようになったのは、北朝鮮が2度目の核実験を強行した2009年。京都市南区にあった京都朝鮮第一初級学校(幼稚園と小学校に相当。2012年3月末で休校し、京都朝鮮学校に統一)への抗議街宣だった。

 関西の在特会メンバーを中心とする一行の主張は、「学校前にある公園の私物化をやめろ。朝礼台やサッカーゴール等の備品を直ちに撤去せよ」というものだった。前出・安田氏が経緯を説明する。

「自前のグラウンドを持たない朝鮮学校は、市や自治会との合意の下、半世紀に亘って公園を校庭代わりに使ってきました。古くからの慣習で、市の公園管理事務所も問題視していなかったのですが、この地区に越してきた新住民たちの一部から『朝鮮学校が公園を私物化するのはおかしい』との声が上がり始めたのです。その中の1人がネットで知った在特会に“通報”し、事件が起こりました」

 周辺を取材すると、朝鮮学校の評判が芳しくないことも確かに事実だった。

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン