ビジネス

大前研一氏 アジア富裕層はビザなし訪日可能にすべきと提案

 訪日外国人数の増加が話題だ。さらに日本を訪れてもらおうと様々な施策がなされているが、日本は外国人観光客にとって入国の敷居が高すぎると大前研一氏は指摘する。敷居を低くするためには何が必要なのか、大前氏が解説する。

 * * *
 地中海に浮かぶフランスのコルシカ島、イタリアのサルデーニャ島、シチリア島を6月下旬に巡ってきた。ベルリンで開催されたマッキンゼーのOB役員会議出席に合わせて計画したのだが、なかでも私がとくに気に入ったのは、ナポレオンの出身地として知られるコルシカ島だ。

 急峻な山の外周に建設された対面通行の狭い道路が高さ数百メートルの断崖絶壁の上を走り、眼下には透明度の高いコバルトブルーの海が広がっていた。まさに「絶景」だった。こんな小さい島からほぼヨーロッパ全土を制圧し、ロシアまで攻め込んでいった勇気ある人物が登場したのかと思うと、そこにいるだけで自分にも不思議な力が湧いてくるような気がしたのである。

 この旅で改めて痛感したのは、日本は外国人観光客にとって「入国の敷居が高すぎる」ということだ。

 すでに欧米は6月から夏休みに入っているので、三つの島はいずれも欧米をはじめ世界中からやってきた大勢の外国人観光客でにぎわっていた。何の施設もない小さな海岸で泳いでいる人もいれば、昨年のツール・ド・フランスで開幕コースになったコルシカ島の険しい山道を自転車で走っている人もいた。旅行会社のパック旅行ではなく、みんな思い思いの旅を自由気ままに楽しんでいた。

 私はギリシャの島々を船で巡ったこともあるが、どの島の港もイギリス、ドイツ、ノルウェー、スウェーデンなどヨーロッパ中からやってきたクルーザーやヨットであふれていた。スペイン南岸のコスタ・デル・ソルも同様だった。クロアチアとモンテネグロのアドリア海沿岸、トルコのエーゲ海沿岸にも、やはり寒いヨーロッパ諸国の人々が押し寄せていた。

 つまり、ヨーロッパの加盟国間を検査なしで国境を超えることを許可するシェンゲン協定でパスポートが不要になり、EU加盟28か国中18か国が共通通貨ユーロを導入しているヨーロッパの人たちにとって地中海は、いわば「国境のない遊び場」なのである。だから、みんなどこに行っても自分の庭のような感覚で、伸び伸びと休暇を過ごしているのだ。

関連キーワード

トピックス

高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン