ビジネス

トヨタが虎の子技術を中国生産に「技術流出は織り込み済み」

 自動車販売台数世界首位に君臨するトヨタだが、中国では各国メーカーの後塵を拝している。北米での攻勢に陰りがみえつつあるなか、中国の攻略は急務だ。反日でデモや技術流出など「チャイナリスク」にどう立ち向かうか。世界一の2200万台市場への戦いの舞台裏に経済ジャーナリスト・永井隆氏が迫った。
 
 * * *
 その日、会場には熱気がこもっていた。

「私の名前は保守(パオショウ)と申します。名前は保守ではありますが、私の描く中国戦略は決して保守的ではなく、革新的なものだと自負しております」

 2014年4月20日、北京モーターショーのプレスカンファレンス。伊原保守・トヨタ自動車副社長は、詰めかけた中国メディアを前に熱く語った。中国語を交えたジョークに会場から歓声が起こるなか、強い眼差しでこう言い切った。

「将来的には日系メーカーNO.1、ブランド別シェア3位となることを目指し、努力していきたいと考えております」

「年間販売200万台規模の事業へと成長を遂げることが、私の描く中国事業の将来像です」

 その決意は言葉だけではなく、販売戦略からも読み取れる。トヨタは同モーターショーで、新型カローラとレビンを中国で初公開した。カローラは日本でもおなじみの定番コンパクトカー、レビンは1980年代に日本で一世を風靡したものの、生産が終了していた若者向けの人気車だ。さらに、中国産ハイブリッドユニットを搭載した両車の2015年発売も明言している。

 後述するがトヨタが誇る“虎の子”技術・ハイブリッドユニットを「現地生産」で販売する意味は大きい。知的財産の管理が行き届いていない中国において技術流出の恐れはぬぐえないからだ。しかし、なりふり構ってはいられない。「技術流出は織り込み済み」という言葉さえ、社内外から聞こえてくる。

「一緒にやることで土に水が染みわたっていくように技術が浸透していき、この地のモノづくりの底上げに繋がればトヨタにとっては嬉しいこと」(中国駐在のトヨタ関係者)

関連キーワード

関連記事

トピックス

日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
実業家の宮崎麗香
《セレブな5児の母・宮崎麗果が1.5億円脱税》「結婚記念日にフェラーリ納車」のインスタ投稿がこっそり削除…「ありのままを発信する責任がある」語っていた“SNSとの向き合い方”
NEWSポストセブン
出席予定だったイベントを次々とキャンセルしている米倉涼子(時事通信フォト)
《米倉涼子が“ガサ入れ”後の沈黙を破る》更新したファンクラブのインスタに“復帰”見込まれる「メッセージ」と「画像」
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン
峰竜太(73)(時事通信フォト)
《3か月で長寿番組レギュラー2本が終了》「寂しい」峰竜太、5億円豪邸支えた“恐妻の局回り”「オンエア確認、スタッフの胃袋つかむ差し入れ…」と関係者明かす
NEWSポストセブン
2025年11月には初めての外国公式訪問でラオスに足を運ばれた(JMPA)
《2026年大予測》国内外から高まる「愛子天皇待望論」、女系天皇反対派の急先鋒だった高市首相も実現に向けて「含み」
女性セブン
夫によるサイバーストーキング行為に支配されていた生活を送っていたミカ・ミラーさん(遺族による追悼サイトより)
〈30歳の妻の何も着ていない写真をバラ撒き…〉46歳牧師が「妻へのストーキング行為」で立件 逃げ場のない監視生活の絶望、夫は起訴され裁判へ【米サウスカロライナ】
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト