昨年11月からは、上海にほど近い江蘇省でトヨタ自動車研究開発センターが稼働した。東京ドーム50個分の広大な敷地で、ハイブリッド技術を現地生産するための研究などを行なうという。
トヨタが本気で中国を獲りにきた。業界関係者がそう囁く背景には、従来の戦略のままでは中国市場を攻略できないという焦燥もある。
2013年の中国自動車市場は2199万台(前年比14%増)に達した。2000万台の大台を初めて超え、世界2位のアメリカ市場の約1560万台を大きく引き離す。だが、そのうちトヨタの販売台数は92万台に過ぎず、メーカー別シェアはたった4%で6位に沈む。
ちなみに1位が独フォルクスワーゲン(VW)で320万台(シェア14.6%)、日系1位は4位日産で126万台(同5.7%)。昨年、トヨタは93万台の米フォード(同4.2%)に抜かれるなど中国バブルから1人取り残されている。
その理由について、大手紙経済部記者はこう指摘する。
「車を所有することで見栄を張りたいのが中国人の心理です。中国では豪華でゆったりとした欧州のデザインが好まれるが、トヨタ車はコンパクトさや機能性を売りにしてきたことでユーザーの心をとらえきれなかった。トヨタはこれまで“本社主導”を貫き、現地化への対応を怠ったことも大きい」
※SAPIO2014年8月号