投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、8月4日~8月8日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、ウクライナ情勢や中東情勢に警戒しつつ、日本銀行金融政策決定会合に注目する展開となる。ウクライナの紛争が激化した場合、イラクが内戦に陥った場合、パレスチナ紛争が激化した場合は、リスク回避の円買い圧力が強まることになる。
しかしながら、日米の金融政策の乖離観測や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産への投資増額期待から下値は限定的と予想される。
【日本銀行金融政策決定会合】(7-8日)
日本の6月のコアインフレ率は、前年比+3.3%となり、5月の+3.4%から低下した。日本銀行は消費増税の影響を+1.7%と試算しており、実質的には+1.6%の上昇となった。2015年10月の消費増税(8%→10%)の判断材料は、2014年7-9月期の国内総生産(GDP)となること、日本のインフレ率が上げ渋る展開となっていることで、黒田東彦日銀総裁の会見に要警戒か。
【地政学的リスクと金融危機】
「8月の砲声」で象徴されるように、8月は戦端が開かれがちな季節であり、金融危機(ロシアのデフォルト、米国債格下げ、サブプライムローン危機)に襲われた季節でもあることで、地政学的リスクや金融危機リスクに警戒する展開となる。
中東の地政学的リスクの高まりは、米国が軍事介入していないことで、「有事のドル買い」となる可能性に警戒することになる。イラクでは、アルカイダ系の武装組織「イラク・シリア・イスラム国」が樹立したイスラム国と、イラク、イラン、シリア、サウジアラビアとの緊張が高まりつつあり、ラマダン明けでの紛争拡大に警戒する展開となる。
パレスチナでは、イスラエルによるガザ地区への地上侵攻により、中東全域での地政学的リスクが高まりつつある。イラクが内戦に陥った場合、原油価格が上昇することで、原発稼動停止で原油輸入の依存度が高い日本経済にはマイナス要因、貿易赤字の拡大により円安要因となる。
ポロシェンコ・ウクライナ政権と親ロシア武装勢力との武力衝突が激化しつつあり、欧米とロシアの対立も緊迫の度合いを増しつつある。ウクライナ東部での紛争が激化した場合、リスク回避の円買い圧力が強まることになるが、第2次冷戦の構図からは「有事のドル買い」となる可能性にも警戒することになる。
8月4日-8日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。