芸能

『仁義なき戦い』撮影時の松方弘樹 2か月寝なかった熱い時代

 1960年のデビューから時代劇スターとして活躍した俳優・松方弘樹だが、時代劇そのものが不振に陥り、活躍の場が少なくなっていった。再び主役級スターに返り咲くきっかけとなった『仁義なき戦い』シリーズ出演時の思い出について松方が語った言葉を、映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづる連載『役者は言葉でてきている』からお届けする。

 * * *
 1960年代半ば、東映は不振に喘ぐ時代劇を諦め、任侠映画をメインの路線に据える。時代劇の頃は主役が多かった松方弘樹だったが、この時期は脇に回ることが多くなった。そして、1969年には大映に移籍している。早逝したスター・市川雷蔵の穴埋めを期待された松方は、『眠狂四郎』『若親分』といった雷蔵の当たり役を演じている。

「大映にはレンタルという形で行きました。東映にいても上がつかえていましたからね。岡田茂さんが『ちょっと大映に行ってこい。あそこはスターがいないから、主役を取れるぞ』と。

 東映じゃあ、うだつが上がらないんですよ。役も二番手ならまだいいけど、その辺のいい役は待田京介さんとかがもらっていましたからね。任侠映画のほとんどを作っていた俊藤浩滋プロデューサーからも『お前はまだ若い』と言われていましたし。

 大映だったら主役は勝オーナー(※新太郎)しかいませんから、京都には。ですから、喜んでレンタルで行きました。

 ところが2年して大映が潰れちゃったから、東映に戻ったんです。で、またうだつが上がらなくて。それでも平気でした。人生をそんな真剣に考えていませんもの。もともと役者になる気もなかったわけですから。俊藤さんがキャバレーの巡業を組んでくれて歌も歌えましたし」

 松方にとって大きな転機となったのが1973年の『仁義なき戦い』だ。この作品をはじめ、シリーズ五部作に3回登場していずれも殺される役を演じて強い印象を残した松方は、再び主役級のスターに名を連ねていった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン