芸能

お手軽な不倫ドラマに深刻な家族ドラマ 時代を象徴している

 時代の写し鏡だと思えば、これらの作品の「落差」も理解しやすいかもしれない。ドラマウォッチを続ける、作家で五感生活研究所の山下柚実氏が指摘する。

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 お盆休みもあけて、残暑の日常が戻ってきました。今期の夏ドラマの話題の一つは「不倫」です。

『同級生~人は、三度、恋をする』(木曜夜9時TBS系)に、『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(木曜夜10時フジ系)。木曜の夜は立て続けに不倫ドラマが2本、放送されて注目を集めています。

『同級生』は柴門ふみの原作。40歳を迎えた男女4人が中学の同窓会で再会し、互いの思いが再燃する。ヒロイン・あけひ演じる稲森いずみは、「キスして」と言ったとたん「冗談だよ」とごまかしたりする。妙に思わせぶり。甘えてモーションかけるブリっこ女。昔よく見かけたパターンです。ふと、20年前の柴門ふみ原作『東京ラブストーリー』を思い出します。

 そのあきひに惹かれ、翻弄されまくる健太(井浦新)が、またまたレトロ感満載の人。どこか時代とずれた、おとぼけキャラクター。と、見ている方がちょっと恥ずかしくなるチープ感たっぷり。「不倫」というテーマさえ描けば、もうそれで十分なのかも。実に作り込みが浅い、昼メロ的ドラマに仕上がっています。

 一方の『昼顔』も、負けず劣らず場当たり的な作り物感が満載です。夫とは別の男に恋する主婦「平日昼顔妻」がテーマ。パート主婦の紗和(上戸彩)はたまたま生物教師・北野裕一郎(斎藤工)に出会う。高校教師はいきなりしゃがんで穴を掘り昆虫観察。そのベタな姿に惚れた紗和。あっという間に二人は手を繋いで、昆虫獲りへ。森の中で紗和の方からキスを迫り…越えてはいけない一線を越えていく。

 もう一組登場する不倫カップルは、専業主婦・利佳子(吉瀬美智子)と画家・加藤(北村一輝)。二人の不倫を嗅ぎつけた夫(木下ほうか)は、タクシーで尾行。

 尾行。出会い系サイトで男を漁る美人妻。野性的で荒々しい画家。実にベタな展開です。随所に思いつきの軽さがあって、笑えてしまう。作り物の空虚感がむしろ開き直りにも見えてきて、いい感じ。

 妙な褒め方ですが、どちらのドラマも、お手軽感が魅力です。作り込まない、リアルを追究しない。「ああどうせウソだから」「もう展開はわかりきってるし」「その場その場で面白く見せればいい」というような。「そんなのある?」といういいかげん(良い加減)な設定を「あり」として楽しむ高等娯楽。絶妙な力の抜き具合。みんなが入れ込まない感じがいい。視聴者も制作側も、誰も深刻じゃない。一、二度見過ごしても話がすぐわかる。

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