スポーツ

堀内恒夫氏 王貞治氏に殴られた巨人寮で過ごした思い出語る

 現在参議院議員として活躍する堀内恒夫氏は、読売巨人軍が1965年から1973年まで9年連続してプロ野球日本シリーズを制覇した時代を支えたエース投手だった。堀内氏は輝かしい成績の大エースでありながら、初々しいルーキー時代から素行と態度の大きさゆえに「悪太郎」の名で呼ばれていた。当時の寮長に巨人の歴代三ワルと呼ばれ、王貞治氏から鉄拳制裁を受けた時代の思い出を、堀内氏が語った。

 * * *
 きっかけは1年目にあります。入団に際して記者が質問する時に、時間や場所をずらして1社ずつ同じようなことを聞いてくる。それで「面倒臭いから1つにまとめてくれ」といったんです。そんな生意気なことをいう高卒ルーキーなんていませんよね(笑い)。だから記者はカチンときたんでしょう。

 それで2年目、腰を痛めて多摩川(二軍)で調整している時に総攻撃されました。生意気な堀内が二軍に落ちた、これで終わりだといわんばかりに、紙面に「悪太郎の目にも涙」だの「天狗の鼻が折れた」だの、それはボロクソに書かれました。まァ僕は常にマスコミとは戦いだと覚悟していたので、書かれても仕方ないとは思っていましたけどね。

<その2年目にノーヒットノーランを達成したのだから、批判が堀内をエースとして成長させる糧になったのかもしれない。堀内は当時、門限破りの常習犯だったと伝えられ、宿舎に帰った時に見つかりそうになってスーツ姿で湯船に隠れたとか、見かねた先輩の王貞治から鉄拳制裁を受けたといった伝説が残る。>

 門限破りを繰り返したのは3~4年目になってから。それに、世間がいうほど破ってない(笑い)。

 スーツで湯船に隠れたのは確かに1年目ですが、あの時は酒を飲んでいたわけじゃない。先輩が合宿を抜け出して僕も連れて行かれ、1人で先に帰された時に風呂場の窓から入ったところ、鬼軍曹といわれた武宮敏明寮長がたまたま見回りに来たので、慌てて湯船に飛び込んだんです。新調した白いスーツのまま、肩までお湯に浸かって隠れた。

 その後スーツを絞って乾かすと、肩のところ横一線に垢の跡がくっきりつきました。当時3万5000円のスーツは、2000円で質屋に入れる羽目になりました。

 王さんから殴られた話も事実です。あれは遠征の時で、夜に旅館の帳場で実家に電話をかけていたら、王さんがやって来て大広間に連れて行かれて突然殴られた。門限破りをするのは合宿所だけで、遠征先ではやったことはない。理由が分からないから殴り返そうかと思ったくらいです。

 ただ、王さんは自発的に暴力を振るうような人じゃない。おそらく王さんに「お前が一度ガツンとやれ」と焚きつけた先輩がいたのでしょう。生意気で成績が上がっているから締めておけということ。まァ、1年目の選手に活躍されると面白くない人はいますから。

※週刊ポスト2014年9月5日号

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
3大会連続の五輪出場
【闘病を乗り越えてパリ五輪出場決定】池江璃花子、強くなるために決断した“母の支え”との別れ
女性セブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン