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ソニー創業者の甥が挑むゲーム機事業 ミッションは難易度高

創業者一族の「顔」でPS4の国内販売テコ入れなるか

 苦戦するソニーのエレクトロニクス部門の中で、数少ない“稼ぎ頭”となっているゲーム事業。

 昨年11月に北米で先行発売し、今年2月より日本市場にも投入した家庭用ゲーム機「PS(プレイステーション)4」が想定を超える売れ行きを見せ、ソニー本体の業績に貢献しているのだ。

「先月、PS4は全世界1000万台以上の累計実売台数を、歴代ハードウェア最速のスピードで達成したが、国内ビジネスにおいても市場をより活性化させていきたい」

 9月1日、東京都内で開かれたソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の発表会でこう意気込んだのは、同日付でSCEの日本・アジア地域を統括するジャパンアジア(JA)のトップ(プレジデント)に就任した盛田厚氏(54・写真)だ。

 この日は、来たる年末年始のゲーム商戦に向けて、44タイトルに及ぶPS4の新作が次々と紹介されたのだが、会場に詰めかけたマスコミやゲーム関係者らに盛田氏を“お披露目”する目的もあった。

「盛田氏はソニー創業者の盛田昭夫氏の甥(弟の子息)。2006年からSCEで経営管理部長などを務めてPS4や携帯ゲーム機のPS Vitaの開発を後押しした。今後は盛田氏のネームバリューも活かしながら、日本やアジアの販売・営業を強化する狙いがあるのだろう」(経済誌記者)

 そんな期待の中で登壇した盛田氏は、緊張した面持ちで「大きな使命に改めて身の引き締まる思いです」と挨拶した後は、新作タイトルと開発メーカーの担当者を淡々と紹介するばかり。肝心のアジア戦略についてのアナウンスは後日に持ち越された。

「盛田氏に課せられたミッションは生易しいものではなく、難易度は非常に高い」と指摘するのは、エース経済研究所アナリストの安田秀樹氏だ。

「PS4は海外では好調な売れ行きですが、日本では早くも販売台数が失速している状況です。その理由は、ソフトが馴染みの薄い海外メーカーの“バイオレンスアクションゲーム”ばかりで、ハード機を牽引するほどの人気が出ていないのです。

 日本の大手ソフトメーカーが消極的なのは、開発コストがとにかく莫大だから。海外メーカーはPS4ソフトの開発に50億円前後をかけているところが多く、中には100億円以上のタイトルもあります。でも、いまのハード機の普及状況では開発費を回収することは到底難しく、日本のメーカーは採算がとれないビジネスに及び腰になっているのです」(安田氏)

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