ネーミングから窺えるように、韓国海軍の対日意識というものは相当である。その韓国海軍の増強ぶりが顕著なのは、日本側の国防関係者にとっては、心中穏やかではない。
現在、韓国海軍はイージス艦を2隻配備し、さらに1隻は試験運用中であるが、2027年までに6隻まで増やすことが決まっている。「独島」と同じ型の強襲揚陸艦は、2020年頃までにもう1隻配備。外洋航海に適した大型の潜水艦も2010年代末までに18隻配備する予定だ。自衛隊幹部はこう訝る。
「北朝鮮の弾道ミサイルへの備えとしてもイージス艦6隻は必要ない。強襲揚陸艦にせよ、大型潜水艦にせよ、もはや北朝鮮海軍との戦闘を想定しているとは思えない。むしろ、イージス艦を6隻保有している自衛隊に対抗しようという意図があるのではないか」
来年ないし、再来年に済州島基地が完成した暁には先に述べたように、「独島」を旗艦とする艦隊が配備される。前出の自衛隊幹部はいう。
「韓国の済州島基地は東シナ海や日本海を抑える戦略上の要地となる。近年、東シナ海にて諍いを起こしている中国海軍への備えとして機能すれば、歓迎すべきだが、万が一、対日拠点となれば海上自衛隊や在日米海軍の基地がある佐世保と海峡を挟んで対峙することになるだけに、深刻な問題となるだろう」
文■織田重明(ジャーナリスト)
※SAPIO2014年10月号