ライフ

離れて暮らす親の認知症対策 ゴミ出しや財産守るサービス等

 認知症高齢者とその予備軍はあわせて862万人ともいわれる。この病は当事者だけでなく家族にも大きな負担を強いるため「自分も当事者になる」という意識はすべての国民に必要だろう。とはいえ、同居していない親が認知症になったときはどうしたらよいのか。来るべき日に備え、利用できる便利なサービスをいくつか紹介する。

●困りごと援助サービス
 本人や家族が日頃の家事を行なうことが難しい場合、各自治体にある社会福祉協議会の「困りごと援助サービス」を利用できる。各社会福祉協議会によって名称や内容、費用は異なるが、食事や掃除などのサポートが受けられる。

 たとえば中野区社会福祉協議会の「ほほえみサービス事業」では、年会費3000円を支払えば、1時間800円で食事の支度や洗濯、掃除などを手伝ってくれる。

●日常生活自立支援事業
『70歳すぎた親をささえる72の方法』(かんき出版刊)の著者で、NPO法人「パオッコ~離れて暮らす親のケアを考える会~」理事長の太田差惠子氏がいう。

「社会福祉協議会は、認知症患者向けに『日常生活自立支援事業』というサービスも行なっています。通帳や印鑑、年金証書などを預かり、年金や福祉手当の受け取りに必要な手続き、公共料金や福祉サービスの利用料支払いなどを代行してくれます。利用料は地域によって異なり、生活支援員の訪問1回あたり1200円ほど。強引なセールスなどを断わりきれなかったり、つい不要なものを買ってしまったりというケースに有効です」

●成年後見制度
 判断能力が低下した高齢者に高額契約を結ばせる悪徳セールスが多発している。その際は「成年後見制度」を利用する手段がある。この制度を利用すれば、例えばクーリング・オフ期間を過ぎても本人が交わした契約を取り消すことができる。本人の財産を守ることが制度の目的であるため、後見人は本人の利益にならない資産を自由に処分できない。子が親を後見する場合、かえって不便なケースもあるので注意。

●ゴミ出し支援
「多くの自治体では『ふれあい収集』などの名称で、介護認定を受けている高齢者世帯などでゴミの戸別収集を行なっています。収集する際にインターホンなどで一声かけることにより安否確認を兼ねているところも多い」(前出・太田氏)

●外出支援サービス
 自治体では、高齢者や体の不自由な人を対象に「外出支援サービス」を用意していることが多い。タクシーの利用に補助が出たり、専用のワンボックスカーで送迎してくれたり、内容は行政によって様々だ。愛知県半田市では、外出が困難な高齢者などを対象に、年24回までタクシーの初乗り運賃の9割を助成する(要介護度4以上は年48回)。

※週刊ポスト2014年10月24日号

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン