国内

日本が参考にするアジアのカジノは資金洗浄の温床的側面も

 先の通常国会で継続審議となった、カジノ合法化を含む「IR(統合型リゾート)推進法案」(特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案)が、秋の臨時国会で成立する可能性が高まっている。
 
 その一方、カジノ誘致の先陣を切ってきた東京都は、お台場のカジノ用地とされた都有地を貸し出し、カジノ誘致を担当する「大都市行政担当」を知事直轄部局から港湾局に移管する事実上の“格下げ”をし、慎重姿勢に転じたたことで、カジノの是非をめぐる論議が再燃している。だが、10年前からカジノ誘致を研究してきた大前研一氏はそれらの論議は、すべて「的外れ」と喝破する。

 * * *
 日本人の多くは、カジノに対して、モナコのモンテカルロのような「紳士と淑女の社交場」を想起しがちだ。しかし、それはほんのごく一部のカジノであって、日本が招致モデルの参考としている、マカオやシンガポールなどのアジアのカジノの実態はまるで違う。

 マカオとシンガポールのカジノには、すこぶる特殊な事情がある。だが、それについて説明する前に、マカオのカジノが世界一になった背景を知る必要があるだろう。
 
 カジノ売上額(2013年)は、1位がマカオ(452億ドル)、2位がラスベガス(65億ドル)、3位がシンガポール(61億ドル)である。中国本土からの観光客が6割以上を占めるマカオのカジノは中国経済のバブルに比例するように急成長し、今や売上額でラスベガスの7倍に達している。
 
 とはいえ、VIPルームにやってくる中国の富裕層は、遊戯目的でカジノにカネを注ぎ込んでいるわけではない。彼らにとってカジノは“マネーロンダリング(資金洗浄)マシーン”の役割を担っているのである。

関連キーワード

関連記事

トピックス

世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
浅香さんの自宅から姿を消した内縁の夫・世志凡太氏
《長女が追悼コメント》「父と過ごした日々を誇りに…」老衰で死去の世志凡太さん(享年91)、同居するスリランカ人が自宅で発見
取締役の辞任を発表したフジ・メディア・ホールディングスとフジテレビ(共同通信社)
《辞任したフジ女性役員に「不適切経費問題」を直撃》社員からは疑問の声が噴出、フジは「ガバナンスの強化を図ってまいります」と回答
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト