スポーツ

逸ノ城 立ち合い変化に物議も「作戦のひとつ」と意に介さず

初めての遊牧民出身力士・逸ノ城(21)

 新入幕にして1横綱、2大関を破り13勝で、昭和以降初となる新入幕翌場所での関脇昇進を果たした逸ノ城(21=湊部屋)。人気が低迷している角界に現われた21歳の超新星は、モンゴル出身力士の中でも初めての遊牧民出身だ。

 鳥取城北高での3年間の相撲留学中は、モンゴルの家族とは3か月に1回しか電話連絡を取ることが許されず、雨の日に外で泣いたこともある。今年1月の初土俵以来、里帰りは名古屋場所後の1度だけ。両親には「ケガだけはしないように頑張れ」といわれた。

 そんな逸ノ城を「日本の母」であるおかみさんが、毎日のように部屋から国技館まで車で送迎した。おかみさんはモンゴルの音楽を車中で流し、逸ノ城がリラックスできるようにサポート。周囲の人たちに支えられながら、怪物は躍進をとげた。物議を醸した立ち合いの変化について聞いた。

「立ち合いが合わなかったので(変化するという)考えを変えた一番もあるし、前夜にビデオを見ながら(変化しようと)決めた一番もある。これも作戦のひとつ。ただ、やるからには思い切ってやろうと決めている」

 と、まったく意に介さない。あまりのスピード出世のために、髷を結う段取りが組まれたのは10月27日の新番付発表当日。真価が問われる九州場所について聞くと、

「とても楽しみ。早く始まらないかな。次に当たる時は横綱(白鵬)の左上手が取れるようにしたい」

 と、笑顔を見せた。白鵬が「あいつはいつかオレを抜く」と周囲に漏らし、お騒がせ横綱の元朝青龍が「このガキ、横綱になるよ」とツイッターでつぶやく逸材。大相撲人気を牽引する21歳から目が離せない。

◆逸ノ城駿(いちのじょう・たかし):1993年4月7日生まれ。モンゴル・アルハンガイ出身。2010年、鳥取城北高に相撲留学。卒業後に実業団横綱となり、2014年1月場所で外国人初の幕下付出デビューを果たす。初土俵から4場所での新入幕は史上2位タイ。

撮影■太田真三 取材・文■鵜飼克郎

※週刊ポスト2014年11月7日号

関連記事

トピックス

創価学会の「自民党離れ」は今年4月の衆院島根1区補選でも
【自公連立終焉へ】公明党の支持母体・創価学会の「自民党離れ」が進む 岸田首相の「解散やるやる詐欺」に翻弄され“選挙協力”は風前の灯火
週刊ポスト
殺人を犯すようには見えなかったという十枝内容疑者(Facebookより)
【青森密閉殺人】「俺の人生は終わった」残忍な犯行後にキャバクラに来店した主犯格の社長、女性キャストが感じた恐怖「怒ったり、喜んだり感情の起伏が…」近所で除雪手伝いの裏の顔
NEWSポストセブン
亡くなったことがわかったシャニさん(本人のSNSより)
《ボーイフレンドも毒牙に…》ハマスに半裸で連行された22歳女性の死亡が確認「男女見境ない」暴力の地獄絵図
NEWSポストセブン
長男・正吾の応援に来た清原和博氏
清原和博氏、慶大野球部の長男をネット裏で応援でも“ファン対応なし” 息子にとって雑音にならないように…の親心か
週刊ポスト
殺害された谷名さんの息子Aさん
【青森密閉殺人】手足縛りプラスチック容器に閉じ込め生きたまま放置…被害者息子が声を絞り出す監禁の瞬間「シングルで育ててくれた大切な父でした」
NEWSポストセブン
竹内涼真と
「めちゃくちゃつまんない」「10万円払わせた」エスカレートする私生活暴露に竹内涼真が戦々恐々か 妹・たけうちほのかがバラエティーで活躍中
女性セブン
史上最速Vを決めた大の里(時事通信フォト)
史上最速V・大の里に問われる真価 日体大OBに囲まれた二所ノ関部屋で実力を伸ばすも、大先輩・中村親方が独立後“重し”が消えた時にどうなるか
NEWSポストセブン
大谷が購入した豪邸(ロサンゼルス・タイムス電子版より)
大谷翔平がロスに12億円豪邸を購入、25億円別荘に続く大きな買い物も「意外と堅実」「家族思い」と好感度アップ 水原騒動後の“変化”も影響
NEWSポストセブン
被害者の渡邉華蓮さん
【関西外大女子大生刺殺】お嬢様学校に通った被害者「目が大きくてめんこい子」「成績は常にクラス1位か2位」突然の訃報に悲しみ広がる地元
NEWSポストセブン
杉咲花
【全文公開】杉咲花、『アンメット』で共演中の若葉竜也と熱愛 自宅から“時差出勤”、現場以外で会っていることは「公然の秘密」
女性セブン
京急蒲田駅が「京急蒲タコハイ駅」に
『京急蒲タコハイ駅』にNPO法人が「公共性を完全に無視」と抗議 サントリーは「真摯に受け止め対応」と装飾撤去を認めて駅広告を縮小
NEWSポストセブン
阿部慎之助・監督は原辰徳・前監督と何が違う?(右写真=時事通信フォト)
広岡達朗氏が巨人・阿部監督にエール「まだ1年坊主だが、原よりは数段いいよ」 正捕手復帰の小林誠司について「もっと上手に教えたらもっと結果が出る」
週刊ポスト