カトラー氏は自分と意見の異なる相手にはすぐ「右翼」とか「歴史修正主義者」というレッテルを貼る。とくに安倍首相に対してはいつも「右翼」と呼び、「ホロコースト否定者」扱いをする。「アベは日本国民の個人の自由を奪おうとする」とまで断じる。カトラー氏の述べる日本の状況は以下のようでもあった。
「いまの日本は右翼が非常に強く、多数の政治家、歴史学者、新聞記者らがその恐怖におののき、政府に反論できない。彼らは自宅に深夜の脅しの電話や、不審な物品を受ける。アメリカ人学者多数も同様に脅迫を受けた」
米人学者が日本の右翼に脅かされるというのだ。日本社会の実態をまったくつかんでいないことがよくわかる。
朝日新聞の慰安婦報道での誤報訂正に対しては、カトラー氏はアメリカ側の他の関係者3人と連名の声明で「下院決議の作成は朝日新聞報道にも吉田清治証言にもまったく影響されなかった」と苦しい弁明をした。
では日本軍による強制連行の証拠はなにかとなると、「日本帝国が軍隊用の性的奴隷システムを組織し、運営したことを示す書類上と口述の証拠はインド・太平洋地域に十分に存在する」と、具体性のない答えとなる。
自分だけを資格もなしに道義上の高所におき、日本の政府や国民に思想警察のような言辞を弄し、反論されると、曖昧な答えで逃げる。カトラー氏の日本糾弾がどこまで続くのか、見ものである。
※SAPIO2014年12月号