ライフ

職場の机上に置いたフィギュアに撤去命令 従う必要はあるか

 かつては“一部の好事家のもの”との認識が強かったものの、今ではクールジャパンの担い手として注目を集めるのがフィギュアだ。近年ではオフィスにフィギュアやプラモデルなどを持ち込み、自分のデスクに飾っているサラリーマンも少なからず存在するが、上司に机の上のフィギュアを撤去しろと命令された場合、従わねばならないのだろうか? 弁護士の竹下正己氏が、こうした相談に対し回答する。

【相談】
 医療機器メーカーに勤めています。私の仕事机には小さなフィギュアが数体置かれていて、勤務中にそれらを見ていると、気持ちが安らぎ仕事がはかどります。しかし、上司は撤去を命じています。誰にも迷惑はかけていませんし、上司の命令には納得できません。それでも従わなければいけませんか。

【回答】
 そもそも職場に私物を持ち込めるかが問題です。会社の就業規則などを確認して下さい。服務規律として職場への入場にあたり、日常携行品以外の職場持ち込みを禁じたり、上司の許可制にしている例も少なくありません。

 職場への私物持ち込み制限は、職場の安全、機密保持、会社資産との混同防止等の観点から不合理ではありません。そのような規制があれば、フィギュアの持ち込みは、上司の許可が無くてはできないでしょう。とくに持ち込みを認められていない以上、撤去すべきです。

 次に、こうした制限がない場合、職場の秩序を維持し、快適な環境を整えることは常に必要であり、上司は部下に対して、こうした環境の整頓と維持を求める権限を有しています。

 そこで、仕事や職場での日常に必要でもないのに、仕事の邪魔になるような私物については、撤去を命じることができます。例えば、業務に不要な大量の私物で机の周りが占拠されたような場合などであれば、明らかにそういえます。

 あなたの場合、小さなフィギュアで、物理的には仕事の妨げにはならないでしょう。趣味のフィギュアであれば、業務時間中にそれを見て、ほっと一息つけ、仕事の能率も上がるかもしれません。

 しかし、逆に気を抜いていると思われる可能性もあります。上司は職場の他の従業員の士気への影響も考える必要があります。フィギュアの効果が業務にとってプラスという判断もあれば、マイナスの判断もあり得ますが、その判断を一次的にするのは上司です。

 納得できないと思いますが、もともとあなたには、職務遂行に必要な場合以外、私物を置く権利はないということを忘れてはいけません。フィギュアの効用を理解してもらえないのであれば、上司の指示違反による処分も心配です。私は撤去したほうがよいと思います。

【弁護士プロフィール】
◆竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2014年11月28日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
卓球混合団体W杯決勝・中国-日本/張本智和(ABACA PRESS/時事通信フォト)
《日中関係悪化がスポーツにも波及》中国の会場で大ブーイングを受けた卓球の張本智和選手 中国人選手に一矢報いた“鬼気迫るプレー”はなぜ実現できたのか?臨床心理士がメンタルを分析
NEWSポストセブン
数年前から表舞台に姿を現わさないことが増えた習近平・国家主席(写真/AFLO)
執拗に日本への攻撃を繰り返す中国、裏にあるのは習近平・国家主席の“焦り”か 健康不安説が指摘されるなか囁かれる「台湾有事」前倒し説
週刊ポスト
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン