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風邪やインフルエンザ様症状を軽減する乳酸菌が話題

 気温が急激に下がり、本格的な冬がやってきた。この季節に気をつけたいのが、風邪やインフルエンザなどの感染症だ。

 そもそも冬に風邪やインフルエンザにかかりやすくなるのは、どうしてなのだろうか。東海大学医療技術短期大学学長で医学博士の灰田崇孝さんはこう解説する。

「冬は気温が低下し空気も乾燥するため、風邪やインフルエンザのウイルスが活性化します。さらに、寒さで体が冷えると、ウイルスから私たちの体を守っている免疫力が低下するため、風邪やインフルエンザにかかりやすくなるんです」

 ほかにも、睡眠不足やストレス、食生活の乱れ、運動不足といった生活習慣に加え、加齢も免疫力を低下させる一因だという。

「食生活の乱れは体の免疫細胞を作るためのエネルギー不足を招き、ストレスや睡眠不足は自律神経のバランスを乱すため、免疫力の低下につながります。また、運動不足になると血流やリンパの流れが悪くなるので、血液中にある白血球などの免疫細胞がうまく働かなくなります」(灰田さん)

 つまり、風邪やインフルエンザを寄せつけないためには、普段の生活に気を配り、免疫力を高めておくことが大切なのだ。最近、さまざまな乳酸菌の機能が話題になっているが、中でも注目を集めているのが、『ラクトコッカス・ラクティスJCM5805株(以下、プラズマ乳酸菌)』だ。

「主にチーズやヨーグルトの発酵に使われる、もともと自然界に存在する乳酸菌です。最近の研究で、他の乳酸菌とは異なる免疫力を活性化するメカニズムが発見されています」と話すのは、東海大学医学部教授で理学博士の苙口隆重さん。

 免疫細胞には、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)やキラーT細胞などの種類があり、それぞれが異なる働きをしている。

「一般的な乳酸菌は、特定の免疫細胞のみに働きかけるのに対し、プラズマ乳酸菌はそれらの免疫細胞の“司令塔”ともいえるpDC(プラズマサイトイド樹状細胞)に働きかけるのが大きな特徴。そのため、それぞれの免疫細胞の機能も大幅にアップすると考えられています」(苙口さん)

 さらに、東海大学医学部が、プラズマ乳酸菌摂取による風邪やインフルエンザに対する効果を検証する臨床試験を実施。その研究結果が第73回日本公衆衛生学会総会で発表され、話題となっている。

「臨床試験では、プラズマ乳酸菌がのどの痛みや咳などの症状を軽減することが確認できました」(灰田さん)

 今回の試験は、18~39才の657名を対象とし、プラズマ乳酸菌50mg(1000億個以上)を含むカプセルを摂取するグループと、含まないカプセルを摂取するグループの2つに分けて、12週間行われた。

「プラズマ乳酸菌を摂取したグループは、のどの痛みや咳などの症状が軽くなった一方、倦怠感や発熱といった風邪の初期症状を感じる人も多かった。これも免疫機能が、素早くしっかりと働いている証拠だと考えられます」(灰田さん)

 のどの痛みを訴える人は約半数、咳の症状は約7割減。プラズマ乳酸菌を摂取しているグループは、重症者の減少が顕著だった。このことから、免疫力を高めれば風邪の重症化を防げることがわかった。

 最近では、プラズマ乳酸菌を配合した飲料も登場しているので、毎日の習慣として、手軽に摂れる点もうれしい。

「プラズマ乳酸菌を食生活に積極的に取り入れるのは、とてもいいでしょう。ただし、風邪やインフルエンザの予防には、マスクや手洗いといった基本的なことが大切なので、忘れずに行ってください」(灰田さん)

 免疫力を高めるには、何かひとつを行えばよいのではなく、睡眠や食事、運動といった生活習慣全体を見直し、継続して心がけることが重要だ。風邪やインフルエンザにかかる前に、毎日の習慣で、免疫力を高める生活を始めよう。

※女性セブン2014年12月18日号

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