芸能

故・米倉斉加年の妻「まだ泣けない。半身が削ぎ落ちたよう」

 2014年、多くの人がその生涯に幕を閉じた──。8月26日には、俳優で絵本作家の米倉斉加年(よねくら・まさかね)さんが、腹部大動脈瘤破裂のため亡くなった。80才だった。

「特にここ2~3年の父は、母のために生きようとしていたようでしたね。いつも一緒にいて、穏やかに暮らしていました」と、長男で演出家の米倉日呂登さんは言う。若いころは妻のテルミさんと夫婦げんかをしてはぷいと家を出たり、撮影で何日も戻らないことが普通だった米倉さんは、晩年変わった。茶碗を洗ったり、おにぎりを握ったり、家事もこなしていた。

 亡くなった日も、ふたりは一緒に故郷の福岡県を訪れていた。朗読会の打ち合わせの後に不調を訴えた米倉さんは、救急車で病院に運ばれ、意識が戻ることはなかった。

 米倉さんは大学を中退後上京、『劇団民芸』の研究所で演技を学んだ。映画『男はつらいよ』シリーズなどで、静かなおかしみや哀しみのある男性を演じた。独学で描いた絵画も国内外で高く評価された。

 2014年に入ってからも、アンデルセンの短編集『絵のない絵本』をテーマにした芝居を「テルミとやる。これだけはやりとげたい」と意欲的に話していた。

「『絵のない絵本』は私たちが20才のころ、60年も前に私が彼に贈った初めてのプレゼントなの」と、妻のテルミさん。小学校からの同級生で、22才のときに結婚、以来人生を共にしてきた人の不在に、テルミさんはまだ慣れない。

「まだ一度も泣けないの。半身が削ぎ落ちたような心持ちなんですよ」

 壁一面の本棚に、ぎっしりと詰まった本や画集。文机の上には絵筆が並んだまま。自宅のリビング兼書斎は、米倉さんが生きている頃のまま、何も変えていないという。

※女性セブン2015年1月8・15日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月20日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン