「二十八宿は、日本には空海により『宿曜経』と共にもたらされました。古代中国においては、天の赤道に沿って天球を東西南北に四分割し、さらに二十八分割し、ここにその各々を司る星宿が並んでいるとみました。この二十八宿を暦上のそれぞれの月・日に配して、古くから人事百般の吉凶を占っています」(木村さん)
角(かく):柱立て、建物の建築や改修、婚礼など吉。葬式凶。
亢(こう):物品購入、結納取り交わし吉。建築凶。
氐(てい):婚礼、開店、新規事業の開始吉。仕立物の着初め凶。
房(ぼう):婚礼、旅行、移転、柱立て、棟上げなど新規事の開始吉。
心(しん):神仏の祭祀、移転、旅行吉。婚礼、建築、葬式凶。
尾(び):婚礼、開店、移転、新規事の開始吉。仕立物の着初め凶。
箕(き):動土(土を大きく動かす)、池掘り、物品仕入れ、集金、建物の改造大吉。葬式凶。
斗(と):とくに土掘り事に大吉。倉庫の建造、新規事の開始吉。
牛(ぎゅう):吉祥宿にてよろずよろし。とくに午の刻大吉祥の日柄。
女(じょ):稽古事始め吉。訴訟、争論、掛け合い事、婚礼、葬式凶。
虚(きょ):衣類着初め、学問始めに吉。相談事、掛け合い事は大凶。
危(き):壁塗り、造船、船の改修、酒造り吉。登山、高所での仕事大凶。
室(しつ):祈願始め、婚礼、祝い事、神仏祭祀などよろずよろし。
壁(へき):新規事の開始、旅立ち、婚礼大吉。ただし南へ行くは凶。
奎(けい):宮造り、柱立て、棟上げ、井戸掘り、神仏祭祀、旅立ち吉。
婁(ろう):動土、改修、嫁取りの相談事、契約、取引始め、造園吉。
胃(い):公事に関与するはよろし。私事にこだわるは悪し。
昴(ぼう):神仏詣り、祝い事、家畜購入、新規事開始吉。造改修凶。
畢(ひつ):神仏祭祀、婚礼、屋根ふき、棟上げ、取引開始すべて吉。
觜(し):稽古始め、山仕事始め、運搬始め吉。仕立物の着初め凶。
参(しん):物品仕入れ、倉庫納入、新規取引開始、祝い事など吉。
井(せい):神仏参詣、種まき、動土、建築、落成式などよろず吉。
鬼(き):大吉日にて祝い事よろずよろし。ただし婚礼のみ凶。
柳(りゅう):物事を断るに用いてよき日。婚礼、新規事の開始凶。
星(せい):乗馬始め、治療始め、便所改造吉。婚礼、葬式は凶。
張(ちょう):就職、見合い、神仏祈願、諸祝宴、和合事よろずよろし。
翼(よく):耕作始め、樹木の植え替え、種まき吉。高所での仕事凶。
軫(しん):地鎮祭、棟上げ、落成式、神仏祭祀、祝い事よろず吉。
(※神宮館高島暦より)
このほかに、「一粒万倍日」「天赦日」「不成就日」「三隣亡」といった年に数回~数十回の吉凶日が混ざってくる。
縁起が良いことから「一粒万倍日」を選んで入籍したことで知られるのが、マネックス証券会社社長の松本大さんとテレビ東京の大江麻理子アナウンサーだ。最後に、ふたりが入籍した2014年9月17日を例に暦の吉凶の詳細を読み取ってもらった。その日の暦は、
・一粒万倍日
・先勝(六輝)
・やぶる(中段)
・壁(二十八宿)
先勝なので午前中は良く、縁起の良い「一粒万倍日」ではあるが、中段は『やぶる』で婚礼や祝い事には凶とされる日。壁も婚礼に大吉という吉凶混合の日だ。
「『縁起日』にはそれぞれ全く別の由来があり、優劣はありません。また、全てが揃って吉になる日を探してもほとんどありませんので、ご自身でいつも中心にして見ている『縁起日』を優先し、同じ日に吉と凶が配されている場合でも気にしないでいることが大事です。実際どんな事を行いたいかによって、吉凶だけでなく本来の意味を中心として選択し、判断していくのが正しい日取りの仕方です」(木村さん)