国際情報

李明博前大統領の回顧録 竹島上陸を自画自賛する記述が並ぶ

 3年近く首脳会談さえ開かれず、日韓関係は史上最悪レベルに冷え込んでいる。その原因を辿ると、2012年8月の李明博・前大統領の「竹島上陸」に突き当たる。これこそが両国の不幸の始まりだったが、2月2日に発売された同氏の回顧録には、日韓関係を悪化させた自らの行為を自画自賛する記述が並んでいる。

 ソウルの大型書店の新刊コーナーで、〈新しい未来のために、我々は休まず走った〉というコピーのポップとともに派手に平積みされているのが韓国の李明博・前大統領の回顧録『大統領の時間』だ。798ページの分厚さで2万8000ウォン(約3000円)と強気の価格設定ながら初版1万5000部で、発売後すぐに増刷が決まった。

 李氏といえば任期中の2012年8月10日に韓国大統領として初めて「竹島上陸」を決行した人物だ。

 改めていうまでもなく、竹島は日本固有の領土であるが、1952年以来、韓国が不法占拠してきた。そこをわざわざ現職大統領の立場で訪問することで、日韓関係は決定的に悪化した。このことは日本側のみならず、韓国でも日韓友好を目指す人々に問題視されてきた。

 ところが回顧録ではそれを、自身の“偉業”として紹介している。

〈「我が国の領土なのに歴代大統領が一度も行ったことがないのはあり得ない。だから、私が行ってくるといっているのです」

 2012年8月6日、青瓦台(韓国大統領府)で関係者と独島(編集部注・竹島の韓国名)訪問関連の会議を行なった。

 私は就任前から、任期中に独島を訪れる意志を持っていた。(中略)私は独島に関して、静かな外交はもうこれ以上意味がないと思った。むしろ大統領が訪問して我が韓国の領土である事実を国際社会に刻印する行為が必要な段階だった〉(翻訳、以下同)

 就任前からの信念に基づいて訪問したという書きぶりだが、実態は違う。

 現代グループ出身で「経済大統領」を自負していた李氏は、就任当初、「未来志向の日韓関係」を唱えた。それが任期最後の1年に入って求心力が低下。2012年当時、政権支持率は過去最低の17%にまで落ち込み、さらに実兄で元議員の李相得氏や側近2人が収賄で逮捕される事件も起きた。上陸を決行したのは実兄逮捕の1か月後だった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン