回顧録にあるような「信念」ではなく、反日感情を煽ることで求心力回復を図る保身のための上陸だったことは明らかだ。産経新聞ソウル駐在論説委員の黒田勝弘氏が指摘する。
「李明博はビジネス界出身ということもあって、親日派といわれがちだった。それに対して『自分は本当の愛国者(=反日)だ』と反論したい気持ちもあったと考えられます。
歴代大統領として初めて上陸したことを示す石碑を建てさせていますから、歴史に名を残したいという個人的な動機もあったでしょう」
上陸に呼応するように、翌11日のロンドン五輪サッカー3位決定戦では日本に勝利した韓国代表の選手が「独島は我が領土」のボードを掲げてピッチを走り回った。
スポーツと政治を結びつける恥ずべき行為に対し、韓国では大統領の竹島上陸と合わせて喝采が送られ、日韓の溝は決定的に深まった。
上陸4日後には李氏が今上天皇の訪韓の条件として「独立運動家への謝罪」を挙げるなど、反日の姿勢はエスカレートし、今日の冷え切った日韓関係につながっていった。
※週刊ポスト2015年2月20日号