国際情報

中国のネットの不動産情報は嘘ばかり 中国嫁日記作者が告白

再版された同人誌と『中国嫁日記』4巻

 人気エッセイマンガ『中国嫁日記』(KADOKAWA エンターブレイン)作者の井上純一氏は、2012年から拠点を中国へ移している。昨年、広東省東莞市からより香港に近い深セン市へ引っ越した。新ブログ『月(ゆえ)サンは困ってます』で会社の金銭トラブルに巻き込まれたと告白し話題を集めている井上氏に、中国での引っ越し事情などについてきいた。

 * * *
――日本で引っ越しとなると、ネットや雑誌で物件を探したり不動産屋へいったりしますが、中国ではどのようにして探すのでしょうか?

井上純一(以下、井上):ちゃんと不動産屋があって物件を紹介してもらえます。ネットでも不動産情報は出ていますが、嘘の情報ばかり。ない物件が書いてあって、それを不動産屋に問い合わせると「もっといい物件がある」とすすめられる。「見せ物件」が多すぎるんですよ。日本にもあるようですが、中国のネット不動産情報は見せ物件しかないと言ってもいいくらい。そういうと、月に「中国、そんなイイ加減なことナイ!」と怒られますが(笑)。

 最近、だんだん慣れてきて、ごくわずかにある本物の写真の見分けがつくようになりました。構図が中途半端だったり、画像がきれいじゃないものはたいてい本物の物件です。

――ネットは効率が悪いですね。実際にはどのようにして探しているのでしょうか?

井上:何十、何百と歩いて回るか、賃貸なら知り合いをたどることです。持っている家やマンションを貸したい人はたくさんいて、賃貸は借り手市場といってもよい状態ですから。とくに深センは、転売するためにマンションを買う人がとても多いので貸したい人が多いんですよ。月が「新しい部屋を借りようか」と言ったら、周りから「うちのを借りてくれないか」とずいぶん言われましたよ。

――最近、不動産デベロッパーの佳兆業集団がデフォルト危機に陥ったと報じられるなど、中国は不動産市場が大変だというニュースばかり目立ちますが、深センでは事情が別なのでしょうか?

井上:暮らしている実感としては、中国の不動産バブル崩壊は感じないですね。賃貸は少し安くなっていますが、深センの販売物件はあんまり下がっていない。香港が近いので、香港に住む人たちが投資目的に買っているという事情もあるかもしれません。以前は、暴落したときにお金があったら、中国の住まい兼、投機目的でマンションを買うのも悪くないと呑気に考えていました。それどころではなくなってしまいましたが……。

――深センの不動産事情は特別なのでしょうか?

井上:深センのインターネット回線は早いんです。北京や上海でも夢の数字と言われる100メガ回線が引かれていますから。それでも、香港と比べるととんでもなく遅いです。いま住んでいるマンションも100メガと言われていますが、夜12時ぐらいの、ネットを使う人が多そうな時間帯はとても遅くなる。金盾(※中国のネット検閲)に邪魔されているのかなと思ったら、ただ遅いだけだったということも(笑)。

――不動産を購入する人は多そうですが、居住率は低そうですね。

井上:うちの隣の部屋は、1か月に1回しか帰ってこないですね。でも常に売買も動いているので、頻繁に工事があるんです。だからマンションに住んでいると、四六時中どこかで工事をしていてうるさいですよ。日本と違って、中国ではマンションを販売するときは内装を全部とりはらったコンクリートむき出しの状態にするので、買うと必ず内装工事をします。

 でも賃貸だと、大家さんが用意した家具や電化製品までそろっている部屋もあります。食洗器が欲しいと言ったら買ってくれたり、洗濯機が古いと言ったら入れ替えてくれたりということも。知り合いを通じて貸してもらっている大家さんだと、そういう話もしやすくなります。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・イメージ 写真はいずれも当該の店舗、販売されている味噌汁ではありません)
《「すき家」ネズミ混入味噌汁その後》「また同じようなトラブルが起きるのでは…」と現役クルーが懸念する理由 広報担当者は「売上は前年を上回る水準で推移」と回答
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン