芸能

織本順吉 思いを託してセリフ言うときは、その前に息を吸う

「今のテレビドラマですと、二人で芝居していても、こっちに聞こえてこないような小さな声で芝居する俳優が増えてきています。若者じゃなくて、大人でもね。ある時、若い女優さんとの場面で、何回やっても全く聞こえてこないことがありました。それで監督に『僕と彼女の二人の間でコミュニケーションとれなきゃ、俺はセリフ言えないよ』と言ったことがあります。

 今は胸元にピンマイクを付けるから、小さな声でも拾えちゃうんですよね。それで、小さな声でやっていると、モノローグを喋っているみたいになって、なんとなく真実味があるような錯覚を起こすんですよ。それっぽい芝居に見える。で、それに酔っちゃうわけですよ。でも、それは実は相手に伝わっていなかったりする。相手にちゃんと聞こえなきゃ、セリフは成り立ちません。

 以前、中井貴一君と一緒にやった時にその話をしたら、彼も『僕もそう思うから、せめて部屋の中での撮影だけでもピンマイクをやめてくれと頼んだことがあります』と言っていました。

 僕らが録っているセリフというのは、『日常的なセリフ』なんですけど、『日常そのもの』ではないわけです。フィクションの中のリアリティが必要です」

●春日太一(かすが・たいち)/1977年、東京都生まれ。映画史・時代劇研究家。主な著書に『天才 勝新太郎』、『あかんやつら~東映京都撮影所血風録』(ともに文藝春秋)、『なぜ時代劇は滅びるのか』(新潮社)など。本連載に大幅加筆した単行本『役者は一日にしてならず』(小学館)が発売中。

※週刊ポスト2015年4月3日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

コンサート終了後、ファンとのやりとりを楽しんだマッキー
槇原敬之「胸を張って槇原ファンを名乗れなくさせてしまった」涙と感謝の再始動
NEWSポストセブン
メディアの前に久しぶりに姿を現したブラザートム(撮影/黒石あみ)
ブラザートムが不倫騒動・事務所独立からの今を語る「娘にはよくハガキを書いてあげるんです」
NEWSポストセブン
元TBSアナウンサーの林みなほ(オフィシャルサイトより)
元TBS・林みなほアナ離婚、インスタで匂わせていた「貧乳源一郎」との別れ
NEWSポストセブン
高橋真麻
高橋真麻「おでんの卵8個食べても太らない」女性が憧れる美スタイルの理由
NEWSポストセブン
眞子さまの箱根旅行のお姿。耳には目立つイヤリングも(2018年)
小室圭さんの妻・眞子さん 華やかだった4年前の「箱根・女子旅ファッション」
NEWSポストセブン
「タレントパワーランキング」で公表された「F1層(20~34歳女性)に人気のタレントランキング」(2021年11月調査)で堂々の1位を獲得
戸田恵梨香、ファン歓喜の「仕事復帰」 夜の路上で輝いたクールビューティー
NEWSポストセブン
小室圭さんと眞子さん
小室圭さん妻・眞子さんがNYで行きつけのスーパーから見えてきた“妻の気遣い”「日本でいえば『成城石井』」 
NEWSポストセブン
乗馬シーン撮影のため、俳優はどのような指導を受けているのか
大河ドラマに欠かせない乗馬シーン 堺雅人も小栗旬も松本潤も1年前から練習
週刊ポスト
ご体調への不安が募る(写真/JMPA)
雅子さまと愛子さま、“ポツンと一軒家”の孤独感 閉ざされた御所での巣ごもり生活
女性セブン
小泉孝太郎 炎上必至の「古風な結婚感」明かすもバッシングされなかった理由
小泉孝太郎 炎上必至の「古風な結婚感」明かすもバッシングされなかった理由
NEWSポストセブン
結婚し、日本メディアが情報をキャッチしづらいNYで、デイリーメールが追跡取材(写真/JMPA)
小室圭さん・眞子さん夫婦が「離婚で終わったとしても…」英デイリー・メールが報じた「茨の道」
NEWSポストセブン
結婚の過程もさまざま
「結婚式の加害性」炎上騒動から何を学ぶべきか 落とし穴にはまらないための3つの教訓
NEWSポストセブン