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広島・黒田博樹 ツーシーム他「5種類の変化球」の凄さを解説

黒田博樹がメジャーで培った「打たせてとる」投球術

 3月27日に開幕したプロ野球。今シーズン最大の注目は、メジャーから広島東洋カープに復帰した黒田博樹(40)だろう。カンザスシティ・ロイヤルズで投手コーチを務めた経験もある高橋直樹氏は、黒田の変貌をこう話す。

「以前はストレートで押す豪腕型でしたが、海を渡ってからは手元で動くツーシームを武器に、打たせてとるスタイルに変わりました」 

 広島で初の最多勝をとった2005年、投球の半分はストレートだった。だが、ヤンキース時代の昨年、ストレートはわずか8%に。代わりに増えたツーシームとは、どんなボールなのか。

「基本的にはシュートです。黒田の場合、そのまま胸元をえぐる球(シュート)、途中で落ちる球(シンカー) の2種類を投げ分けます。右打者がシュートだと思って、体を開いて打ちにいくと手元で落ちる。決め球にも、併殺打をとりたいときにも有効です」

 元巨人の橋本清氏も、「黒田の生命線はツーシーム」と分析する。

「精度がかなり高いので、右打者の場合、内角を厳しく攻められると外角に少々甘い球がきても踏み込んで打てなくなる。左打者の場合、自分の体近くに来ると思ったら、シュートしてストライクゾーンに入ってくる。ツーシームを軸に組み立てるでしょう」

 黒田の持ち球はストレートに加え、ツーシーム、カットボール、カーブ、スライダー、スプリットがある。それぞれの球種について解説しよう。

【ツーシーム】
 ボールのセンターに中指を置き、人差し指と親指を縫い目に掛ける。ストレートの軌道で小さく(投手から見て)右側に変化。オープン戦で黒田と対戦したヤクルトの藤井亮太は「見たこともない軌道」と舌を巻いた。左打者の内角のボールからストライクゾーンに入ってくる「フロントドア」。

【カットボール】
 握りも球質もストレートに似ているが打者の手元でわずかにスライダーのように変化。オープン戦でも披露した。

【カーブ】
 縫い目にかけた中指でボールを回す。日本での投球の幅を広げるため、「まずカーブを磨く」と投げ込んでいる。

【スライダー】
 途中までストレートと同じ軌道で右打者の外に逃げる球。黒田の場合は変化が小さく打者の手元で芯を外す。

【スプリット】
 フォークボールのように落ちる球でヤンキースの田中将大も得意とする。黒田は手首を返さずに投げる意識を持つ。

撮影■渡辺利博

※週刊ポスト2015年4月10日号

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