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乱歩ファンの又吉直樹 「リアル人間椅子」作って中に入った

 長編小説デビュー作『火花』(文藝春秋刊)が発売されるや否や、ベストセラーとなっている、お笑いコンビ「ピース」又吉直樹氏(34歳)。乱歩作品の熱心な読み手でもある彼が乱歩の魅力を語る。

* * *
 これまでたくさんの小説を読んできましたが、中でも乱歩作品は大好きです。ただ初体験は意外と遅くて、18歳で大阪から上京したころ。新潮文庫の『江戸川乱歩傑作選』を読みました。そこに収録された「二銭銅貨」「心理試験」など初期の短篇を読み、あまりの刺激にすぐ虜になりました。ストーリーの進行が映像的でアッと驚く意外性のある「赤い部屋」にはメチャメチャ興奮しましたね。

 江戸川乱歩というペンネームのカッコよさにもえらい興奮して、本名まで調べたら、「平井太郎」という平凡な名前で“そうなんや……”とガッカリしたこともあります。失礼な話ですけどね(苦笑)。

 仕事に多大な影響があったのはなんと言っても「人間椅子」。生身の人間が椅子の中に入り、女性に座られるのを待つという舞台設定と、作品が持つおどろおどろしい世界観が好きで本当に憧れました。

 実は4年前、この小説をなぞって乱歩マニアが主人公の『Letter/手紙』というショートフィルムを作ったんです。椅子に入る変態的な男を僕が演じて、好意を寄せる女性が座るのをじっと待つ。でも結局、意中の女性に座ってもらえず、近くにいたおじいちゃんが腰掛けるというオチでした。

 多くの乱歩ファンの中でもリアルな人間椅子を作って中に入ったのは、僕以外いないかも(笑)。

※SAPIO2015年5月号

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