2010年の南アW杯前のオランダ戦では、FKを獲得した際、MF中村俊輔と本田が「どちらが蹴るか」で互いに折れず、中村が強引に蹴るという場面があった。そのFKを決められなかった中村はW杯でスタメン落ちし、本田はデンマーク戦で「ブレ球FK」を決めて名実ともに日本代表のエースにのしあがった。
しかし本田のFKはその後めっきり入らなくなった。
「南アW杯当時のボールはブレ球を蹴りやすい構造だったが、今は変化が出にくいボールが使用されている。FKが決まらなくなったのもそのせいだといわれています。ブレ球に頼らないキックを練習していますが、成果が出ていない」(スポーツ担当記者)
かといって本田の存在を脅かすキッカーも今のところ現われていない。現メンバーで有力候補は右利きのMF柴崎とMF清武弘嗣、左利きのDF太田宏介らがいる。しかし、「同じ左利きの太田と本田では、明らかに本田が上」(同前)だ。
前出・河治氏は「ライバルは本田選手自身」と見る。
「パスを繋ぎながら相手の間隙を縫ってシュートに持ち込む本田選手のスタイルに、スピードを重視するハリル監督は違和感を持っている。自分の攻撃スタイルを変えなければスタメン落ちだけでなく代表落ちもあり得る。FKキッカーどころの話ではありません」
今こそ本田にハリル戦術に対応するための「ブレ」が求められている。
※週刊ポスト2015年4月17日号