国際情報

台湾統治下で育まれた日本精神 今でも受け継がれ高い評価も

 かつて台湾は日本の植民地だったが、親日を超えた「愛日家」を自任する台湾人男性が蔡焜燦(さい・こんさん)氏だ。今年4月に、14年前に小学館文庫から発刊された著書『台湾人と日本精神(リップンチェンシン)』が日本の読者の反響を呼び、単行本の「新装版」として発刊されることになった。そんな蔡氏が日本精神を失いつつある日本に警鐘を鳴らす。

 * * *
 昨今、日本の警察や医療機関の不祥事、さらには教育現場の荒廃を耳にすることが多い。それでは先に述べたような「中国式(精神)」(日本精神と対義語で嘘、不正、自分勝手などの意)に染まった戦後台湾の腐敗と何も変わらない。

 外交も同じだ。日本と中国の間には数々の政治的、領土的、あるいは経済的な懸案を抱えているが、そうした問題が起きるたびに中国に媚びるような発言を日本の政治家や経済人が口にする。それを聞くと、日本という国そのものが「中国式」に毒されているように感じてならない。

 そうした原因が、戦後の日本で徹底された自虐史観と呼ばれる教育にあることは間違いない。政治家も官僚も教育者も、そしてNHKや朝日新聞をはじめとするマスコミも感化されているのだろう。だが、戦後70年間、中国の脅威に晒され続けている台湾では、日本統治下で育まれた勤勉、正直、約束を守る、公を大事にするといった善行を意味する「日本精神」が今でも語り継がれ、子々孫々の代にも高く評価されていることを忘れないでほしい。

 戦後70年、すなわち台湾が日本でなくなってから70年の歳月が流れたが、私は米寿を迎えた今でも台湾を訪れる日本人にこう訴えている。

「日本という国は、現代に生きる日本人だけのものではない。我々のような“元日本人”のものでもあるのだ。先人たちが実践した、日本精神を取り戻してほしい」

 この“遺言”が現代の日本人に届いてくれることを心より願うばかりである。

◆蔡焜燦:1927年、台湾生まれ。台中州立彰化商業学校卒業。1945年、岐阜陸軍整備学校奈良教育隊入校。終戦後、台湾で体育教師となるが、後に実業界に転身。半導体デザイン会社「偉詮電子股分有限公司」会長などを務める。司馬遼太郎が『台湾紀行』の取材をする際に案内役を務め、同作中に「老台北」として登場したことでも知られる。短歌を愛好する「台湾歌壇」の代表として日本文化を広く紹介してきた功績が評価され、2014年春の叙勲で旭日双光章を受章。

●構成/井上和彦(ジャーナリスト)

※週刊ポスト2015年5月8・15日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

結婚を発表した長澤まさみ(時事通信フォト)
《トップ女優・長澤まさみの結婚相手は斎藤工と旧知の仲で…》インスタ全削除の“意味深タイミング”
NEWSポストセブン
箱わなによるクマ捕獲をためらうエリアも(時事通信フォト)
「クマが人里に降りてくるのは必然」「農業は野生動物に対する壮大な餌付け」 知床・ロシアでヒグマを撮った動物写真家が語る “現代の人間に欠けている自然観”
NEWSポストセブン
11人家族の宮前家
《子ども9人“大家族のパン屋さん”》「店員さんが注文を覚えきれなくて(笑)」11人家族のインフレ“金銭事情”と、大人数子育てで培ったこと「マニュアル本は役に立たない」
NEWSポストセブン
長男・泰介君の誕生日祝い
妻と子供3人を失った警察官・大間圭介さん「『純烈』さんに憧れて…」始めたギター弾き語り「後悔のないように生きたい」考え始めた家族の三回忌【能登半島地震から2年】
NEWSポストセブン
インフルエンサーのぴきちんさん(Instagramより)
《2年連続ポストシーズン全試合現地観戦》大谷翔平の熱狂的ファン・ぴきちん、全米巡る“体力勝負”の脅威の追っかけはなぜ可能なのか
NEWSポストセブン
2024年に『ウチの師匠がつまらない』を上梓
「視聴率とれたらオレのおかげ?罰が当たるよ」三遊亭好楽さんが『笑点』メンバーや裏方に愛され続ける“お客さんファースト”  地方営業で土産を爆買いも
NEWSポストセブン
古谷敏氏(左)と藤岡弘、氏による二大ヒーロー夢の初対談
【二大ヒーロー夢の初対談】60周年ウルトラマン&55周年仮面ライダー、古谷敏と藤岡弘、が明かす秘話 「それぞれの生みの親が僕たちへ語りかけてくれた言葉が、ここまで導いてくれた」
週刊ポスト
小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン