皮肉なことに、「皆が豊かで幸せな社会」に近くなったのは戦後日本だった。日本には曲がりなりにも自由で、割と平等な社会があり、政治家は「競争選挙」で選ばれ、諸外国と多くの価値を共有する。加えて、美しい四季と風土、世界に誇る和食などの文化がある。
来日前は「日本はひどい国だ」、「中国人は嫌われる」と散々脅されていた多くの中国人も、実際に来日してみると、人々の「おもてなし」の精神やマナーの良さに魅了される。日本の実情を目のあたりにして帰国後、ネットを通じて日本を礼賛する中国人も多い。山積する国内問題に鑑み、日本に憧れ、日本に学びたいと願う中国人が、約一世紀ぶりに続々と出現しているのだ。
口先では抗日・反日を唱える中国共産党の幹部たちも、その腕に光るのは日本製の腕時計であり、地方政府の公用車は日本車ばかり。ビザは緩和されたものの、中国人は日本政府から一定の預金証明が課されるため、来日者の多くが共産党員かそのコネを持つ富裕・中間層といえる。そんな彼らが嬉々として「爆買い」に走り、日本の自然風土や美食を堪能する。日本を一面で敵視する中国共産党こそ、わが国にとって上得意様である。
※SAPIO2015年6月号