その小説は、12歳前後の7人の日本人少女と14歳ほどの外国の少女が登場する短編作品。泉で7人の少女が美しい銀の杯で水を飲んでいたところに、外国人の少女が現われる。その少女も水を飲もうと杯をとり出すが、それは日本人少女たちと比べて粗雑で小さなものだった。

 それを哀れんだ日本人少女たちは、杯を貸そうとするが、外国人少女は「私の杯は大きくはございません。でも私は自分の杯でいただきます」と拒んで、小さな杯で喉を潤すという話だ。

「遼には遼の“杯”がある。“B・ワトソンやT・ウッズ、そして松山君を真似ても意味がない。自分の器を決めてそこにフタをするのもよくないが、人をうらやましがるのはもっとよくない”と話して、この本を渡しました。遼も納得した様子でした」

 勝美氏はかつて、ジュニア時代から競ってきた2人が高校3年の時に出場した日本オープンで、プロとして出場した息子に、「(アマチュアとして出場した)松山君の方が上手だね」とはっきりいったという。

「遼には“15歳までは遼が上だったが、そこから25歳までは松山君の方が上だ。でもその先はわからない”といってあります。このあと遼が挽回して、大鵬と柏戸、王と長嶋のようなライバルとして育ってくれればいいと思う。親バカといわれそうですが、私はそういう夢を持っています」

※週刊ポスト2015年5月22日号

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