栗山:そうなんですが、地方の撮影でもふつうは東京で食べているのと同じようなお弁当なんです。今回の映画でお世話になったお弁当屋さんは淡路島でとれた食材を淡路島で調理してくださるお店でした。地産地消のロケ弁というのは意外とないんですよ。お魚があって煮物などのお野菜があって。素材がいいから充分おいしい。撮影の合間にもかかわらず、現地のおいしいものが食べられて幸せでした。
――この映画に出演して何か影響されたことや心境の変化はありましたか?
栗山:今回、海苔づくりやたまねぎ作りなどを知ったことによって、食の意識が変わりました。これまでスーパーに行ってもあまり産地を気にすることもなく、安いものを買って食べていましたけど、「もったいないことしてきちゃったな」という新たな気づきがありました。野菜にしても産地によって甘みが違うとか特性がある。それを知って食べるほうが楽しみが広がります。料理をするときにしてもそうだと思うんです。まぁ、私がつくる料理といえば、つまみ系になりますが(笑い)。
――桐谷健太さん演じる岳志がつくるたまねぎは本当においしそうでしたね。実際召し上がっていかがでしたか?
栗山:たまねぎじゃないみたい!と言ったらおかしいんですが、たまねぎってツーンときたり、食べ過ぎると胃にもたれたりってあると思うんです。私はもともとたまねぎが大好きなんですが、淡路島のたまねぎはそのツーンとした感じもないし胃にもたれる感じもない。なにより味がおいしくてたまねぎの甘みがある。こんなたまねぎがあるんだ、と初めて知りました。
――神野の食べっぷりはなかなかのものでしたが、栗山さん自身も役に出ていましたか?
栗山:はい、食べっぷりにはかなり自分が出ています。リハーサルのときに、食べたり、何かを初めて見たりするシーンに若干自分が出たんです。そうしたら、篠原哲雄監督が本番でもそうやってくださいと言ってくださった。神野恵子という役に栗山千明が出てしまっているくらい、ナチュラルなリアクションを大事にしてくださり、でき上がった作品です。神野は食べるのが好きだし、おいしそうに食べるイメージはあったので、それを意識しつつも自分自身も出てしまってますね。なかなか共感しながら役を演じることってあるようでないんです。今回は自分に嘘をついていないで芝居をしているという感じがありました。
――演じる役が決まったら、ふだんはどのように役にアプローチしていくのですか?