国内

波紋呼ぶ元少年Aの手記「せめて名前出すべきだった」の声も

 1997年に発生した神戸連続児童殺傷事件。犯人として逮捕された当時14才の少年Aによる手記『絶歌』(太田出版)が発売された。手記の出版を知らされていなかった被害者遺族たちは、怒りに震えた。殺害された土師淳(はせ・じゅん)くん(享年11)の両親は6月10日、こんなコメントを出した。

「彼に大事な子供の命を奪われた遺族としては、以前から、彼がメディアに出すようなことはしてほしくないと伝えていましたが、私たちの思いは完全に無視されてしまいました。なぜ、このようにさらに私たちを苦しめることをしようとするのか、全く理解できません。(中略)

 もし、少しでも遺族に対して悪いことをしたという気持ちがあるのなら、今すぐに、出版を中止し、本を回収してほしいと思っています」

 さらにある情報番組に出演した際には、「子供は2度殺された」と語っている。

 当時、Aに腹部を刺されながらも一命を取り留めた被害者の少女(当時9才)の母親が、かつて女性セブンに話した悲痛の叫びがよみがえる。

「娘はいまだに静かな場所を一人で歩けません。テレビドラマを見ていても、殺人の場面になると悲鳴を上げて泣き出します。トラウマが消えないんです。二度と出てこないでほしいと、心から思います」

 事件の後遺症に悩む被害者家族にとって、Aの手記は正気を保てる内容ではない。手記の発売後、アマゾンでは瞬く間に900件超のレビューが書き込まれ、大いに荒れた。

《あまりのおぞましさに寒気がする》

《世に出してはいけない本》

《書店でも子供の目の触れる所に置くべきではない》

 世の母親たちからも非難の声が噴出した。

「淳くんと同じ年頃の娘を持つ身として、この手記の出版は理解できません。私は幼児虐待のニュースを見るだけで心を痛め、チャンネルを変えてしまうほどです。親ってそういうものです。子供の殺害の描写まで細かく書くなんて、もし遺族が読んだらどうなってしまうか…。“遺族のかたに心からお詫び申し上げます”と言いながら、彼は本当のところでは、何も反省していないんでしょう」(40才主婦)

「自分が注目されたいだけの単なる自己満足でしかない。遺族を悲しみのどん底に突き落としておいて、自分は印税で大金を得るなんて許せません。今からでも発売中止にするべきです」(38才主婦)

「市橋達也や加藤智大とか、遺族の許可なく獄中手記を出した殺人鬼は何人もいるので、手記を出すこと自体は問題ないと思います。ただ、せめて名前は出すべきだった。事件当時は未成年だったかもしれないけど、今はもう32才なんだから」(45才主婦)

※女性セブン2015年7月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン