国際情報

アジア1の大富豪・王健林氏 巨万の富を築いた一大転機とは

「中国の不動産王」と呼ばれる男が率いる企業グループの株をめぐって中国中枢が揺れている。その株が習近平主席の姉夫妻や胡錦濤前主席の子息、温家宝前首相の子息らの関連会社に渡っているとの情報がメディアにリークされ、金にまつわる疑惑が急浮上しているのだ。アジアナンバー1の大富豪・王健林氏とは一体どんな人物なのか? ジャーナリストの相馬勝氏がレポートする。

 * * *
「今年に入ってからの大きな買い物はスーツ3着だけ。全部で2万元(約38万円)ほどだ」。こう語るのは、「中国の不動産王」とも呼ばれ、今、中南海を揺るがす疑惑の中心人物でもある王健林・大連万達集団(ワンダ・グループ)会長だ。

 王は今年に入ってグループ株が急騰したこともあって、香港の大富豪である李嘉誠・長江実業会長や、中国一の富豪の馬雲・アリババ集団会長を抜き去り、5月に発表された富豪ランキングで総資産381億ドル(約4兆5700億円)とアジアナンバー1に躍り出た。

「王健林は以前、遼寧省大連市西崗区人民政府に勤務していたことがあり、だれよりも朝早く職場に入り毎日欠かさず上司の机やその周りを掃除していたそうです」

 王のビジネス拠点である大連市で10年以上もビジネスのコンサルタント会社を経営する高瀬正博氏が、その当時、同じ職場で働いていた知人から聞いた話だ。

 王自身も中国紙「新京報」のインタビューで、「毎朝6時には起きて、7時には会社に出勤する」と語っているように、60歳になったいまでも朝は早く、「社員の遅刻は許さず、みなりもしっかりとさせている」と強調。それに違反すれば、1回ごとに月給から100元(約1900円)を差し引かれるという。

 このような厳格さは多分に王が軍隊出身であることと密接な関係があるようだ。王は15歳で軍に入隊し、中朝国境の吉林省の部隊に配属され国境警備の偵察兵として軍歴を歩み始めた。1978年には20~30人の兵士をたばねる小隊長に昇格。軍務に熱心で、気が利き、頭もよかったため、大連陸軍学院で1年間学んだ。

 さらに軍の推薦を受けて入った遼寧大学を卒業すると、16年間の軍隊生活に終わりを告げ、1986年には大連市西崗区人民政府弁公室主任に転じた。毎朝早く出勤し、上司の机拭きを日課にしていたのもそのころだ。

関連キーワード

トピックス

大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
焼酎とウイスキーはロックかストレートのみで飲むスタイル
《松本の不動産王として悠々自適》「銃弾5発を浴びて生還」テコンドー協会“最強のボス”金原昇氏が語る壮絶半生と知られざる教育者の素顔
NEWSポストセブン
沖縄県那覇市の「未成年バー」で
《震える手に泳ぐ視線…未成年衝撃画像》ゾンビタバコ、大麻、コカインが蔓延する「未成年バー」の実態とは 少年は「あれはヤバい。吸ったら終わり」と証言
NEWSポストセブン
米ルイジアナ州で12歳の少年がワニに襲われ死亡した事件が起きた(Facebook /ワニの写真はサンプルです)
《米・12歳少年がワニに襲われ死亡》発見時に「ワニが少年を隠そうとしていた」…背景には4児ママによる“悪辣な虐待”「生後3か月に暴行して脳に損傷」「新生児からコカイン反応」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン
“1日で100人と関係を持つ”動画で物議を醸したイギリス出身の女性インフルエンサー、リリー・フィリップス(インスタグラムより)
《“1日で100人と関係を持つ”で物議》イギリス・金髪ロングの美人インフルエンサー(24)を襲った危険なトラブル 父親は「育て方を間違えたんじゃ…」と後悔
NEWSポストセブン
自宅への家宅捜索が報じられた米倉(時事通信)
米倉涼子“ガサ入れ報道”の背景に「麻薬取締部の長く続く捜査」 社会部記者は「米倉さんはマトリからの調べに誠実に対応している」