スポーツ

金田正一氏が苦言 「記録より記憶に残る選手を目指しなさい」

 プロ野球界では、「○○本安打」や「○○歳最長××記録」などが達成されると、大きく報じられる。そんな中、「200勝・2000本安打」を表彰する「名球会」を設立した400勝投手の金田正一氏が、記録偏重となった今のプロ野球界にもの申す。

 * * *
 今の子たちには、記録より記憶に残る選手になってもらいたい。例えば野茂英雄だ。近鉄とメジャー、日米通算でやっと201勝だが、自己管理の行き届いた選手生活、野球に対する真摯な姿勢は素晴らしかった。
 
 記録だけにしがみついた選手は記憶には残らない。2000本以上を打った選手、全員の名前がすぐにいえるか? 200勝以上した投手でも、村山実(阪神)、杉下茂(中日)、稲尾和久(西鉄)、鈴木啓示(近鉄)などが挙がる程度だろう。
 
 現在では通算250セーブも名球会の入会条件に加えられているが、これも失敗だったな。あの時、大反対した長嶋(茂雄)が正しかったよ。当時は時代に応じた数字ということで認めたんだがな。佐々木主浩(横浜、マリナーズ)のように、日米で活躍して記憶に残る投手もいるが、本来は先発・完投こそが投手の勲章です。事実、名球会の基準を満たさず引退しても、記憶に残った選手はいるだろう。例えば江川卓(巨人)だ。彼は200勝してはいないが、誰もがしっかりと記憶している。
 
 もう一度いう。記録より記憶に残る選手を目指しなさい。記録は後からついてくるんだ。ありとあらゆるスポーツが注目を浴びるようになっている時代だけに、これはプロ野球界全体が真剣に取り組まなければならない問題だと思うよ。

●かねだ・まさいち/1933年、愛知県生まれ。国鉄、巨人で活躍。球界唯一の400勝達成をはじめ、365完投、4490奪三振、5526.2投球回など、数々の日本記録を持ち、圧倒的な実力と存在感から「天皇」と呼ばれた。引退後はロッテ監督。

※週刊ポスト2015年8月21・28日号

関連記事

トピックス

元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカル
【ニコラス・ケイジと共演も】「目標は二階堂ふみ、沢尻エリカ」グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカルの「すべてをさらけ出す覚悟」
週刊ポスト
阪神・藤川球児監督と、ヘッドコーチに就任した和田豊・元監督(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督 和田豊・元監督が「18歳年上のヘッドコーチ」就任の思惑と不安 几帳面さ、忠実さに評価の声も「何かあった時に責任を取る身代わりでは」の指摘も
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン