スポーツ

森祇晶氏 優れたキャッチャーをいかに育てるかについて語る

 巨人のV9時代を支えた捕手・森祇晶氏(78)は、監督時代には西武で伊東勤を一流のキャッチャーに育て上げるなど、指導方法にも定評がある。そんな森氏が、昨今のプロ野球界におけるキャッチャーの問題と、その育て方について、長年の経験から意見する。

 * * *
 今のキャッチャーは勉強が足りないと思います。ビデオや数字をスコアラーから与えられても、それを明確に分析できていない。モノが周りに多すぎて消化しきれていないんでしょうね。自分の目で見て勉強するというのではなく、ただ押し付けられているだけだから、ピンチになった時にどう打開していくかが分からないんだと思います。

 古い時代の話だといわれるかもしれないが、ノムさん(野村克也)は凄い眼力だった。スコアラーが存在しなかった時代に自分の目で見て情報を集め分析し、課題を見つけて解決していた。そういう勉強を今の選手たちはしていないでしょう。

 相手バッターがいつもは打席のどこに立つか、バットをどのくらいの長さで握るか。それがピンチ、チャンスの時にどう変わるか。人間なのでどこかに微妙に変化がにじみ出るものです。それを感じ取るのはキャッチャーにとってイロハのイです。

 自軍のピッチャーの状態も瞬時に感じとらなくてはならない。今日は調子悪いから仕方ないではなくて、それならどうやって切り抜けていくか、1イニングでも長く投げさせるようにどう持っていくか。それがキャッチャーの知恵なんです。

 最近の選手で、他のチームのキャッチャーと「捕手論」を戦わせている選手がどれだけいるか。僕はノムさんから色んな形でヒントを貰ったし、たびたび捕手のあり方について議論しました。そこから得た知恵は限りない。今は変なところで選手同士慣れ慣れしいが、肝心なところで抜けているような気がする。

 それに良いキャッチャーを「育てる」という意識も希薄になっていますね。

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト