国際情報

韓国の反日が日本の嫌韓を生み、それが韓国の反日を促進する

 なぜ、韓国はいつまでも「反日」を止められないのか。ソウルの日本大使館前に慰安婦像が設置された際の駐韓大使で、著書『日韓対立の真相』(悟空出版刊)において外交戦の舞台裏を赤裸々に明かした武藤正敏氏が、外交官としての体験を基に「反日の構造」を解き明かす。

 * * *
 慰安婦、竹島、世界遺産登録反対……韓国の度重なる「反日」的な外交により、日本では嫌韓を通り越して「韓国はもう放っておけ」という空気が蔓延している。韓国の反日が日本の嫌韓を生み、それがまた韓国の反日を促進するという負の相乗効果で日韓の対立が続いているのだ。

 しかし、今の韓国の「反日」は昔とは異なるというのが、2012年まで大使を務めた私の印象だ。かつての韓国はすべてにおいて反日で、1970年代は日本のことを口にすることさえ許されなかった。そうした雰囲気の中で日韓関係が進められたのは、ひとえに歴代大統領のリーダーシップによる。

 朴槿恵大統領の父親である朴正煕大統領は国内の反日勢力を封じて日韓国交正常化を成し遂げた。1980年代は全斗煥大統領が中曽根康弘首相と蜜月を築いた。1990年代後半に金大中大統領が日本文化を解禁すると、それまで水面下でのみ知られていた日本文化が韓国内に浸透し、韓国人は日本に好感を持つようになった。

 韓国人の対日感情の波は大きく揺れ動いてきたが、それを沈静化させ、改善させ得たのは信念を持って外交を進めた韓国大統領の力と意思であった。

 日本人は、韓国は全体的に反日だと思っているかもしれないが、韓国の若者は日本のアイドルやアニメが大好きだし、日本人に対してそう悪い感情を持ってはいない。今の韓国の反日感情は歴史問題(特に「従軍慰安婦」問題)と領土問題に絞られており、ごく一部である。

 しかし、人の目を気にして親日になりきれないのが韓国の複雑なところだ。本音では日本が好きでも反日の建前を表明しなければ生き辛いのが韓国社会である。一部の声の大きい反日勢力が韓国社会に与える影響が強く、国民は反日への同調圧力に晒されている。

 それは韓国マスコミの無責任な反日報道や、韓国政府に「慰安婦問題の解決の努力をしないのは違憲」と迫った憲法裁判所の判決(2011年)を見ても明らかだ。

※SAPIO2015年9月号

関連記事

トピックス

NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の打ち上げに参加したベッキー
《ザックリ背面ジッパーつきドレス着用》ベッキー、大河ドラマの打ち上げに際立つ服装で参加して関係者と話し込む「充実した日々」
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
雅子さまが三重県をご訪問(共同通信社)
《お洒落とは》フェラガモ歴30年の雅子さま、三重県ご訪問でお持ちの愛用バッグに込められた“美学” 愛子さまにも受け継がれる「サステナブルの心」
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
マレーシアのマルチタレント「Namewee(ネームウィー)」(時事通信フォト)
人気ラッパー・ネームウィーが“ナースの女神”殺人事件関与疑惑で当局が拘束、過去には日本人セクシー女優との過激MVも制作《エクスタシー所持で逮捕も》
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン