大人になってからも、外見差別のシーンに遭遇することが多々あります。自分ではいまいちなルックスを承知していても、人から指摘されたくないものです。男性上司が女性スタッフに軽い口調で「残念なルックスだね」と言ったり、アーティストがブスのファンに話しかけられて無愛想だったり。
「あいつとは何の関係もないから」とブサイクな女子との無関係を強調する男子や、おかめみたいな年増女子に告白された体験を酒の席でおもしろおかしく話す男性とか…。
ブスキャラの女芸人にバンジーとか熱湯風呂とか過酷なことをさせてさらに変顔を笑うバラエティー番組を見ていても、当事者の気持ちを考えると胸が苦しくなります。ブスをいじられて傷つかない女子なんて存在しません。
もしいるとしたら、わざと野暮ったくしているビジネスブスで、ちゃんとお化粧したらきれいになると内心自負しているハートの強い女子くらいです。ブスキャラ女芸人のほとんどは、アイメイクをしっかりめにすれば(芸能人としてのオーラもあるし)美人の範疇に入るのでは…という気もします。
ブスと言われ傷ついても、涙を見せず笑っているタフな女子たち。一方でブスをいじって笑う男子は、内心、ブスに畏れを抱いているのかもしれません。日本神話には、ブスだという理由で嫁ぎ先から送り返されたことで呪いパワーを発動してそのため人類を短命にさせたという、破壊力抜群の神様、イワナガヒメがいらっしゃいます。日本人の遺伝子には、ブスへの畏れがインプットされているのです。その畏れがいつか敬いに変わることを祈ります…。
※女性セブン2015年9月3日号