国内

母乳売買の危険性 75%から有害バクテリア検出のデータも

 インターネット上で偽の母乳を販売していた事件が話題になったが、中国やアメリカ、イギリスでは、盛んに母乳が売買されている。しかし、そんな母乳ビジネスには大きな危険が潜んでいる。医療ジャーナリストの森田豊医師が言う。

「例えばアメリカは、日本より規模も大きく、ビジネスとして確立しているように見えるが、危険性はある。2013年に米国の研究チームがネット上で売買される母乳を調査したところ、75%から有害なバクテリア、64%からブドウ球菌が見つかるなど衛生面での不安が解消されたとはいえません。また母乳の中に牛乳が混入すれば牛乳アレルギーなどを引き起こす危険があり、米国では大問題になっています」

 そもそも“誰の母乳かわからない”ことこそに不安があると、産科医の赤岩明さんが指摘する。

「母乳は血液から作られる体液で、血液中の細胞成分を多く含んでいます。そのため、母乳を通じてウイルスや細菌が赤ちゃんに感染して病気になることがあります。匿名やニックネームでやりとりができるネット上の母乳に、安全性は保証されていません」

 母乳から赤ちゃんに感染する病気には、エイズを引き起こすHIV(ヒト免疫不全ウイルス)やヒトT細胞白血病ウイルスなどがある。母乳を介して、エイズや白血病になってしまうリスクがあるのだ。そして、感染する病気はそれだけではない。

「喫煙者の母乳にはニコチンが含まれていて、それが赤ちゃんの口に入ると、最悪の場合、急性ニコチン中毒を起こすことがあります。また、通常、飲酒後60分以内の母乳にはアルコールが残っている。それも、赤ちゃんの口に入ってしまう。そして薬を服用している人の母乳にも危険があります。ほとんどの薬は母乳を通して赤ちゃんに移行するといわれているので、副作用が出ることが考えられるのです」(前出・森田医師)

 そうした大きなリスクがあるにもかかわらず、新生児を持つママたちが、なぜ“誰のものかわからない母乳”に手を出そうとするのか。前出・鈴木さんは、「母乳にあってミルクにはない」ものがあるからだと言う。

「赤ちゃんには、妊娠中は母親の胎盤を通して、出産後は母乳を通して免疫がいくので免疫力がつきます。だから生まれてから6か月くらいまでは、母乳を飲ませていれば病気にかかりにくく、感染症を防いでくれる。さらに、赤ちゃんを抱っこして授乳するとコミュニケーションも取れます。また、おっぱいを吸うことで皮膚の常在菌の交代ができるなどのメリットが挙げられます」

※女性セブン2015年9月3日号

関連記事

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン