国際情報

中国で「いじめ動画」の投稿が社会問題化 死亡事件に発展も

 やがて日本でも同様の展開となり得る可能性はある。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。

 * * *
 投稿された動画の中で、小学校の高学年から中学生まで女の子たちが群れになって一人の女の子を暴行する。もはや抵抗する気配もない女の子に対して順番に、そして執拗に殴る蹴るを繰り返す。しかも、時に殴っているグループの女の子が撮影者に向かってピースサインを送る……。

 いま中国の投稿動画サイトには、小学生や中学生による集団暴行を映した動画があふれている。あまりの数の多さに2015年に入り地元メディアでも取り上げられる機会が増えてきている。

 8月14日、CCTVの報道番組「今日説法」が「女性群殴事件調査」というタイトルで取り上げたのは、今年6月に江西省で起きた集団暴行事件だった。

 一人の女の子を9人の女の子で暴行した事件だが、きっかけは半年前程に被害者の女の子が授業中に騒いでいた加害グループのリーダーを注意したことだった。驚くべきことは暴行に加った9人のうち、リーダー以外の8人は被害者と面識がなかったということだ。

「悲惨な事件で人々の関心が高く、怒りの書き込みがネット上に溢れた」(北京の夕刊紙記者)というが、このケースはまだしも暴行を受けた女の子が不登校に追い込まれたことで警察が動き、問題化深刻化する前に収まったが、現在中国各地で起きている〝校園暴力〟(校内暴力)では、死亡に至るケースも少なくない。実際、ある統計によれば、暴行が殺人に発展したケースは全体の16.7%に達しているという。

 番組「今日説法」のなかでも、今年1月から5月までの間にメディアに取り上げられた校内暴力の動画は40以上に上り、全国の学生に対するアンケートでは、およそ10人の一人が被害にあったと回答したと報道している、深刻な社会問題となっている。

 問題の悪化を受けて法制網及び情監測センターが出した報告によれば、こうした事件は全国で広く報告されていて、中心は中学生と高校生だという。内訳は、中学生が42.5%、高校生が32.5%。そして、小学生が2.5%だった。全体の約85%が同性間で起きているという。そして、前述したようにこうした暴行事件のうち、16.7%が死亡事件にまで発展しているのだ。

 動画が身近になったことで明らかになった問題か。それとも新しい社会の変化を反映しているのか。いずれにしても心が寒くなる現象といわざるを得ない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
亡くなったアンナ・ケプラーさん(TikTokより)
巨大クルーズ船で米・チアリーダー(18)が“謎の死”「首を絞められたような2つのアザ」「FBIが捜査状況を明かさず…」《元恋人が証言した“事件の予兆”》
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
決定戦で横綱を下した安青錦(写真/JMPA)
【最速大関・安青錦の素顔】ウクライナを離れて3年、なぜ強くなれたのか? 来日に尽力した恩人は「日本人的でシャイなところがあって、真面目で相撲が大好き」、周囲へ感謝を忘れない心構え
週刊ポスト
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
主演映画『TOKYOタクシー』が公開中の木村拓哉
《映画『TOKYOタクシー』も話題》“キムタク”という矜持とともにさらなる高みを目指して歩み続ける木村拓哉が見せた“進化する大人”の姿
女性セブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト
CM露出ランキングで初の1位に輝いた今田美桜(時事通信フォト)
《企業の資料を読み込んで現場に…》今田美桜が綾瀬はるかを抑えて2025年「CM露出タレントランキング」1位に輝いた理由
NEWSポストセブン
亡くなったテスタドさん。現場には花が手向けられていた(本人SNSより)
《足立区11人死傷》「2~3年前にSUVでブロック塀に衝突」証言も…容疑者はなぜ免許を持っていた? 弁護士が解説する「『運転できる能力』と『刑事責任能力』は別物」
NEWSポストセブン