国内

山口組分裂劇 未解決事件犯人を警察に流し相手の弱体化狙う

 山口組分裂から1か月以上が経ったが、いまだ暴力による抗争は起きていない。離脱組は「神戸山口組」を名乗り、それぞれ互いの正当性を主張している。だが双方はこの間、世間の目に付かないように、相手を弱体化させる“禁断の武器”を投入していた。フリーライター鈴木智彦氏がリポートする。

 * * *
 山口組の分裂劇は第2段階に入ったとみていい。マスコミを使って互いの大義を喧伝しあう論戦は、ぼちぼち終わりになるだろう。ただし、“政治的寝技”という手札が尽きるまで、暴力という最終手段は行使されない。「マスコミは好き勝手に抗争を煽るが、無責任きわまりない。そう簡単に抗争にはならない」という暴力団側の主張は、ある意味正しい。

 ではどうなるか? それは暴力団からのリークをみるとはっきりわかる。もはや相手の不都合を感情的に罵倒することはない。警察が立件していない「未解決事件」の犯人を、具体的にリークしてくるのだ。

 生臭い足の引っ張り合いは、最初、離脱派から六代目山口組のトップである司忍組長に対して実行された。離脱した宅見組・入江禎組長が、傘下団体から集めた山口組内部の金の流れを熟知しており、内部告発と証拠書類によって、司組長が脱税で逮捕されるという噂が立ち上がった。山口組関係者は「離脱派の捏造だ」と語気を強めて否定した。

「あり得ない。山口組に金の流れを示す書類など存在しない。それに集めているのは経費で、どれだけ調べても犯罪性はない」

 が、問題は山口組と警察の関係だ。警察に対して明確な反意を示し、情報も出さず、捜査員を恫喝することさえ厭わない現在の山口組、とくに司組長の出身母体である弘道会を警察は別格に敵視している。上納金の私的流用を脱税に問われ、トップが再逮捕された北九州の工藤會同様、その取り締まりは国策捜査に近い色になる可能性が高い。

「警察の新手法はヤクザからすればただの因縁に近い。これまでセーフだった事例を、新解釈で犯罪にするということ。どんな手を使っても弘道会の幹部を摘発しろということは、不正を取り締まるのに不正ギリギリのラインを突けという意味だ」(指定暴力団幹部)

関連記事

トピックス

米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
埼玉では歩かずに立ち止まることを義務づける条例まで施行されたエスカレーター…トラブルが起きやすい事情とは(時事通信フォト)
万博で再燃の「エスカレーター片側空け」問題から何を学ぶか
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
事業仕分けで蓮舫行政刷新担当大臣(当時)と親しげに会話する玉木氏(2010年10月撮影:小川裕夫)
《キョロ充からリア充へ?》玉木雄一郎代表、国民民主党躍進の背景に「なぜか目立つところにいる天性の才能」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
米利休氏とじいちゃん(米利休氏が立ち上げたブランド「利休宝園」サイトより)
「続ければ続けるほど赤字」とわかっていても“1998年生まれ東大卒”が“じいちゃんの赤字米農家”を継いだワケ《深刻な後継者不足問題》
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン