B「一方で最近のJALはシート開発を積極的に進め、出張フライトの多いビジネスマンから高く評価されている。快適な機内環境では一歩リードじゃないですか」
D「(しみじみと)しかし、こんな話が出ること自体、この世界で長くやってると不思議に思うよ。昔はJALがやったことをANAがそっくりマネするのが当たり前だったけど、最近はむしろANAが昔のJAL化している気がする」
C「たしかにそうですね。昔は“赤(JAL)はお公家さま、青(ANA)は体育会系”と囁かれたけど、いまは違う。以前は空港内のANA関係者エリアに立ち寄れば、誰もが『おはようございます』と挨拶を交わしていたけど、最近はスルー。ライバルが破綻するとこうも変わるかと驚いた」
A「CA(客室乗務員)の待遇も昔とはかなり変わった。いまではJALよりANAのCAの方が贅沢な気がする」
B「全日空のCAは全員、『リモワのツヤ消し高級スーツケース』に『ロンシャン』のバッグが定番。自前で買っているはずなのに、なぜかビシッとお揃いなんだ。一方のJALはバラバラで統一感がない。JALのCAはこれが悔しくて仕方ないそうだよ」
D「破綻前、JALのCAはフライトで訪れた海外都市の中心部にあるホテルに2泊できたけど、いまは空港近くの安いホテルに1泊だけ。ま、以前のバブリーさが経営難を招いたんだろうけどね」
B「本当に変わったよね。高嶺の花だったけど、今では機内清掃やイヤホンなどのパッケージの整理までやる。JALのCAは全員、契約社員で3年経たなければ正社員になれない。それでもCAになった人たちだから仕事熱心で質が高いよ」
C「高貴さはさておき、好感度は上がった(笑い)。政界工作よりも、そうした利用者目線のところにどんどん力を注いでくれればいいんだけどね」
※週刊ポスト2015年10月30日号