シェールオイルの発掘などで堅調なアメリカ経済だが、アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)は中国経済減速を警戒して、9月にもあるといわれていたゼロ金利政策を解除する「利上げ」を見送った経緯がある。チャイナ・ショックが現実のものとなれば、アメリカへの信用や評価まで一気に下り坂になる可能性もある。
「最悪の場合、アメリカを巻き込んで1929年の世界恐慌の再来となる可能性も否定できません。各国が財政赤字に苦しみ、金融緩和策も出しつくした状況のいま、いったん世界市場が暴落したら、打つ手はありません」(同前)
中国経済の釜の底が抜け、全世界を不況のどん底に突き落とす「世界市場のチャイナ・シンドローム」へのカウントダウンが迫っているのだ。しかも2014年の日本の貿易相手国は1位がアメリカ、2位は中国である。両国が失速すれば日本経済は計り知れないダメージを負う。
需要の減少に伴い、日本企業の業績が悪化し、株価が下がる。そして、リストラで雇用を減らすという「負のスパイラル」が容赦なく襲いかかる。安倍政権の唱える「GDP600兆円」など夢のまた夢となる。
虚飾にまみれた中国経済の実態が明らかになりつつある。それは日本と世界にとって「悪夢」の始まりである。
※週刊ポスト2015年11月6日号