◆「鹿児島で獲れたイモなのに!」
霧島酒造の広報担当者はこう語る。
「好調の要因は原料調達が計画通りにいったことに加え、関東や関西エリアで本格焼酎の出荷数が増えたことが挙げられます」
一方、その“原料調達”を鹿児島側で複雑な思いで見ている人も少なくない。黒霧島の原料であるサツマイモ「黄金千貫(こがねせんがん)」の収穫期にあたる10月には、鹿児島県の生産農家から黄金千貫を運ぶ大型トラックが霧島酒造までの国道に列をなすという。鹿児島のサツマイモが宮崎に“流出”しているのだ。鹿児島県内にある酒造メーカー関係者が証言する。
「鹿児島で焼酎をつくっているのは小さな会社が多い。宮崎側が工場を増設して大量生産に乗り出したら、原料の芋の値段が高騰してしまう。鹿児島で穫れたサツマイモなのに、こちらのメーカーは手が出なくなってしまうんです」
鹿児島県酒造組合は10月から「かごんま(鹿児島)は焼酎で乾杯」をスローガンに本格焼酎活性化運動をスタートさせた。繁華街にスローガン入りのポスターやのぼりを掲げ、消費拡大のためのテレビCMを打ち、1万人で一斉に乾杯するイベントを計画するなど、“首位奪還”に向け躍起となっている。