その投開票日が来年の7月10日になるというのだ。憲法上、「総選挙は解散の日から40日以内」と定められるなど衆院選や参院選の投開票日は国会日程とのからみで細かい制約があり、同日選が可能な日付は限られる。数少ないチャンスの一つが7月10日だが、その日に同日選を実施するためには通常国会を正月の1月4日に召集し、安倍首相は会期末の6月1日にピンポイントで衆院を解散しなければならない。
しかも、1月4日には宮中で「奏事始(そうじはじめ)」という祭儀が行なわれる。モーニングコートを召された天皇が午前10時から、宮殿の鳳凰の間で掌典長から前年の伊勢神宮や宮中の祭祀が滞りなく行なわれた報告を受けるものだ。その日に国会を召集すれば、重要な奏事始の祭儀がある天皇に国会開会式への臨席も求めなければならない(開会式は召集の数日後にすることも可能だが、今年の常会、昨年の常会ともに召集日に開会式を開催)。
安倍首相が、ハードルが高いはずの奏事始と同じ日の国会召集、つまり同日選への道筋を決断したのは11月16日だった。
「大変異例だが1月4日に通常国会を召集したい」
外遊先のトルコで同行記者団にそう表明したのだ。自民党は幹事長会談で野党に召集日を通告し、「同日選」は一気に真実味を帯びた。
※週刊ポスト2015年12月18日号